カナダで41億6000万年前に遡る、地球最古の岩石を発見

カナダで地球最古の岩石を発見したと主張する、新たな研究結果が発表された。
緑色岩帯の中の岩石
6月26日付けの科学誌「サイエンス」に掲載されたこの研究結果によれば、その岩石はカナダ北東部のハドソン湾にある町、ヌヴァギャトゥク(Nuvvuagittuq)で発見されたという。
分析の結果、露出したグリーンストーン・ベルト(緑色岩帯)と呼ばれる堆積岩の一部にある縞模様の岩石が、41億6000万年前のものと推定されたそうだ。
つまりこれらの岩は、45億7000万年前に形成された地球最古の地殻の残骸と考えられ、この研究結果が正しければ、地球の古代史や生命が誕生した段階を知るための貴重な手がかりになるという。
研究論文の共著者で、オタワ大学環境科学教授のジョナサン・オニール氏は次のように述べている。
「その火山岩は、少なくとも41億6000万年以上前のものでなければなりません。最も古い年代は43億年前だと考えています。これより古い岩石は他に存在しません」
以前の分析方法に異議が唱えられる
実は、オニール教授は2008年にも、同じ場所で見つかった岩石が42億8000万年前のものと推定されたと発表したが、他の地質学者は、分析手法に欠陥があるとして異議を唱えたという。
そもそも古い岩石の年代測定は通常、数十億年にわたって化学的に安定している、ジルコンと呼ばれる鉱物を用いて分析が行われる。
しかし「ヌヴァギットゥク・グリーンストーン・ベルト」には、ジルコンが含まれていない。そのためオニール教授たちは2008年、金属元素であるサマリウムが崩壊し、ネオジムへと変化していく、2つの経路で年代分析をしたという。
ただ、サマリウムは、2つの経路で崩壊していく。つまり「サマリウム146」から「ネオジム142」へ、そして「サマリウム147」から「ネオジム143」へと崩壊していくそうだ。
しかも2つの経路では、崩壊速度が異なり、「サマリウム146」から「ネオジム142」では放射性同位体の半減期が約9600万年に対し、「サマリウム147」から「ネオジム143」では半減期が数兆年になるという。
つまりこの分析方法では、2つの崩壊経路によって、岩石の年代の推定値が大きく異なるそうだ。
マグマが原始地殻に侵入した部分を分析
この問題を克服するため、今回研究チームは地層の中で、地球のマントル(中間層)のマグマが、原始地殻に侵入した部分を探したそうだ。
これらの侵入部分は、観察された岩石よりも若いはずのため、最小年齢として認められる。
そして新たな分析により、「ヌヴァギットゥク・グリーンストーン・ベルト」のこれらの部分では、サマリウムからネオジムへの崩壊がどちらも同じく、41億6000万年前を示していることが明らかになったという。(了)
出典元:Livescience:Rocks in Canada may be oldest on Earth, dating back 4.16 billion years(6/27)