イスラエル軍が医療施設を攻撃、9人の子供を含む15人が死亡

イスラエル軍は7月10日も、ガザ地区全域で攻撃を続け、人口密集地などへ無差別に空爆を続けている。
医療施設への攻撃で女性や子供が死亡
特に被害が大きかったのは、ガザ地区中部のDeir el-Balahにある医療施設への攻撃だ。
この施設では飢餓に苦しむ病気の子供や、母親たちに栄養補助食品や医薬品を提供しており、10日も多くの子供や母親たちが、栄養補助食品の受け取りを待っていたという。
そこへイスラエル軍が攻撃を加え、少なくとも9人の子供と3人の女性を含む、15人のパレスチナ人が死亡。19人の子供を含む、30人が負傷した。
ガザ地区のメディア局は声明を発表し、次のように非難した。
「今回の攻撃は、イスラエル軍による子供、女性、民間人の意図的な殺害、そして人口密集地や大衆市場への無差別攻撃を露呈するものです。人道医療施設を直接標的とした今回の攻撃は、すべての国際法および人道法の明白な違反であり、無防備な民間人に対するイスラエル軍の絶え間ない犯罪を裏付けるものです」
ガザ地区全域で82人が死亡
また北部のガザ市にあるアル・シファ病院の関係者によれば、イスラエル軍はJabalia an-Nazla地区にある学校を攻撃し、少なくとも5人のパレスチナ人が死亡したという。
ガザ地区南部のハンユニスにあるアル・タリア地区でも、パレスチナ赤新月社(PRCS)の医療従事者が人道支援活動中に、イスラエル軍の攻撃を受け、負傷した。
さらにパレスチナ人ジャーナリストのアハメド・サラマ・アブ氏も、イスラエル軍の攻撃によって死亡したそうだ。
これまでイスラエル軍によって殺害されたジャーナリストは229人に上り、近代史において最も多くのジャーナリストが殺された紛争となっている。
ガザ地区の保健当局は10日、全域の病院が、イスラエル軍によって殺された少なくとも82人の遺体を受け入れたと発表した。
燃料や水不足も深刻
国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官によれば、9日には7万5000リットルの燃料がガザ地区へ輸送されたが、「1日分のエネルギー需要を満たすにも足りない」という。
ガザ地区では燃料の不足により、病院が機能不全に陥っており、今後も数多くの患者が死亡すると予想されている。
またガザ地区では水不足も深刻で、人道支援を提供している国際救援委員会(IRC)によれば、水道システムが機能不全に陥り、ほとんどの人々が1日に必要な量を「はるかに下回る」水しか受け取っていないという。
しかも清潔な水がなく、飲料水が不足しているだけでなく、調理や掃除、入浴に安全ではない水を使用せざるを得ず、病気のリスクが高まっているそうだ。
イスラエルが停戦に応じる姿勢
イスラエルのネタニヤフ首相は7月10日、アメリカが提案した60日間の停戦に応じる可能性を示唆し、ガザ地区での恒久的平和に向けた交渉に応じる用意があるとの姿勢を示した。
ただしネタニヤフ首相は、紛争の恒久的停止の基本条件として、「ハマスが武器を放棄し」、もはや「統治能力も軍事力も持たないこと」だとし、次のように述べた。
「もしこれが交渉によって達成できれば素晴らしい。もし60日以内に交渉で達成できない場合は、武力、つまり我々の英雄的な軍隊の力を用いて、他の手段で達成する」(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel kills 82 in Gaza; Netanyahu demands Hamas surrender to end war(7/10)