鳥類の61%で個体数が減少、地球規模の森林伐採が原因

地球全体で、鳥の個体数が急激に減少していることが、ある調査によって確認された。
国際自然保護連合の会議で発表
この調査結果は、10月10日に、アラブ首長国連邦のアブダビで開催されたIUCN(国際自然保護連合)の生物多様性サミットで発表されたという。
その調査では、鳥類の評価対象種のうち、61%で個体数の減少が記録されており、森林伐採が地球全体で個体数の急激な減少を引き起こしていると指摘された。
またマダガスカルに生息する鳥「キバラマミヤイロチョウ(Schlegel’s asity)」や、中米に生息している鳥「キタナイチンゲールミソサザイ」など、多くの鳥類が農業の拡大と人間の開発によって生息地を失っているそうだ。
国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストによると、9年前には、鳥の評価対象種の44%しか、個体数が減少していなかったという。
この調査の監督に携わったイアン・バーフィールド博士(国際環境NGO「BirdLife」)は、次のように述べている。
「世界の鳥類の5種に3種の個体数が減少しているという事実は、生物多様性の危機がいかに深刻であるか、そして各国政府が複数の条約や協定に基づいて約束した行動を、いかに緊急に講じなければならないかを示しています」
生態系において重要な役割を果たす鳥
そもそも鳥は生態系において重要な役割を果たし、花の受粉、種子の散布、害虫の駆除を助けているという。熱帯地方に生息する鳥「ホーンビル(Hornbills)」は、1平方キロメートルあたり、1日に最大1万2700個の大きな種子を散布することができるそうだ。
NGO「ボタニック・ガーデンズ・コンサベーション・インターナショナル」のマリン・リバーズ博士は、「鳥と樹木の運命は互いに絡み合っています。樹木は再生のために鳥に依存し、鳥は生存のために樹木に依存しています」と述べている。
一方、絶滅危惧種に指定されていたアオウミガメは、現在では最も絶滅の懸念が少ない種と報告されたという。
南大西洋のアセンション島やブラジル、メキシコ、ハワイの営巣地の保護強化により、1970年代以降、ウミガメの個体数は28%増加したそうだ。
IUCN事務局長のグレテル・アギラール博士は、アオウミガメの回復について、「保護活動が効果的であることを、改めて認識させてくれます」と述べている。(了)
出典元:The Guardian:More than half of world’s bird species in decline, as leaders meet on extinction crisis(10/10)