カバが約4万年前まで、ヨーロッパ中部に生息していた可能性

カバが中央ヨーロッパに生息していたのは、これまで考えられていたよりもずっと遅いことが、新たな研究で明らかにされた。
4万7000年前から3万1000年前まで生息
研究者たちはこれまで、一般的なカバ(Hippopotamus amphibius)が約11万5000年前に中央ヨーロッパから姿を消したと考えてきたという。そして現在、カバはサハラ以南のアフリカでのみ生息している。
しかし「Current Biology」誌に掲載された新たな研究では、化石の分析が進められ、カバが最終氷河期の真っ只中に、ヨーロッパのライン川上流域に生息していたことが示唆されたそうだ。
ドイツのポツダム大学などの研究者たちは、カバが現在のドイツ南西部にあるライン川上流域の町、グラーベンに約4万7000年前から3万1000年前まで生息し続けていたと考えている。
寒すぎる地域でも生き延びていた可能性
今回の研究結果では、カバが最終氷河期まで長く生き延び、かつてはカバには寒すぎると考えられていた地域でも、生き延びていたことが示唆されたという。
またドイツ南部のこの地域では、動物の骨が砂利や砂の堆積物の中で数千年もの間保存されており、研究にとって貴重な情報源となっているそうだ。
この研究では、科学者たちが多数のカバの化石を調べ、それらのゲノムデータと年代データを組み合わせたという。
サンプルのゲノム配列では、ヨーロッパ氷河期のカバが、現在生息するアフリカのカバと近縁であり、同種に属することが示されたが、当時は遺伝的多様性が非常に低かった可能性も明らかになったそうだ。
さらに化石サンプルの分析により、マンモスやケナガサイなど、寒冷な気候に適応した種とほぼ同時期に、高温を好むカバが出現したが、最終氷河期の初めに始まった地球規模の寒冷化が「不利な条件」をもたらし、西ヨーロッパと中央ヨーロッパのカバは絶滅したという。(了)
出典元:INDEPENDENT:Hippos thrived in central Europe 40,000 years ago, fossils reveal(10/14)