ポケモンGOで撮られた300億枚の写真、配達ロボットの“目”に

世界中のプレイヤーが「ポケモンGO」でポケモンを撮影してきた300億枚以上の画像。楽しみから生まれた膨大なデータが、配送ロボットを進化させるAI技術に活用され始めている。
この技術を開発したのは、同ゲームを手がけるNianticのAI部門「Niantic Spatial」。現実世界の3Dマップを開発しているチームだ。
ポケモンGOが生んだ巨大空間データ
ポケモンGOは、リリースから60日間で5億人がアプリをインストール。2016年のリリース以来、世界中のプレイヤーがポケモンたちの出会いに夢中になりながら、街中の建物やランドマークをスマートフォン越しに撮影してきた。その結果、AR機能やスキャン機能を通じて収集した画像は、300億枚以上にもなるという。
▼ポケモンGOのAR撮影例
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— Pokémon GO (@PokemonGoApp) March 10, 2026
この膨大なデータをもとにNianticのAI部門であるNiantic Spatialは、現実世界を3D的に理解するAI「World Model」を構築。このデータを基盤として、画像から位置を特定する「ビジュアル・ポジショニング・システム(VPS)」を開発した。
カメラで撮影した街の景観を、蓄積された画像データと照合して位置を特定する仕組みだ。GPS信号が乱れやすい高層ビル街やアンダーパスなどでも、建物やランドマークの画像から位置を数センチレベルで特定できるという特徴がある。
これにより、ロボットは周囲の景観を読み取り、自分がどこにいて、どちらを向いているかを正確に判断できる。
Niantic SpatialのCTOであるブライアン・マクレンドン氏は、「ポケモンGOのプレイヤーが撮影した画像は、都市のあらゆる角度・時間帯・天候をカバーする、他に類を見ないデータセットになった」と語っている。
GPSが使えない“都市の谷間”で真価を発揮
配送ロボットにとって致命的となる、GPSの誤差。Niantic Spatialはこのモデルを、米国や欧州でラストワンマイル配送ロボットを展開するCoco Roboticsに提供し、実証を開始している。
特に、高層ビルによる電波反射や遮蔽で位置誤差が生じやすい“都市の谷間”と呼ばれる環境だ。Coco RoboticsのCEOであるザック・ラッシュ氏によると、「GPS の位置が 50m 以上ずれることもある」とのこと。そのため、時間通りに配達することが難しく、人間の配達員との競争への課題となっていた。
一方で、視覚情報から位置を推定する「ビジュアル・ポジショニング・システム(VPS)」を組み込んだロボットは、レストラン前の正確なピックアップ位置や顧客の玄関前の停止位置などを、人間の配達員と同等かそれ以上の精度で判断できるようになるという。
“生きた地図”でGPS誤差を補う
Niantic Spatial のCEOであるジョン・ハンケ氏は、今回の取り組みを「Living Map(生きた地図)」構想の第一歩と位置づける。
ロボットが街を移動するたびに新しい画像や環境情報が収集され、地図がリアルタイムにアップデートされ続ける仕組みを思い描いている。
この技術が確立されれば、GPSの誤差が補われることで、ロボットが都市を自律走行できるようになり、人間と同じ空間で安全に動くことができるようになる。
私たちがポケモンと共に過ごした時間が、未来の配送ロボットや都市サービスの精度向上に活用され始めている。(了)
出典元:Phemex「Niantic Leverages Pokémon Go Data for Advanced Robot Navigation」(3/12)
出典元:MIT Technology Review「How Pokémon Go is giving delivery robots an inch-perfect view of the world」(3/11)

























