アリババ、中国に全自動式の“未来型”ホテルをオープンし話題に
中国企業アリババがロボットを駆使し、全自動でサービスを提供する“未来型”ホテルをオープンさせ、注目を浴びている。
AIにロボットを駆使、技術力の高さを業界にアピール
アリババによる“未来型”ホテル、その名も「FlyZoo Hotel」がオープンしたのは、中国南東部に位置する杭州だ。
290もの部屋を擁するFlyZoo Hotelでは、ロボットやAIを駆使し、サービスを全自動で提供。人件費の大幅な削減に成功したとのことだ。
IT企業として知られるアリババがこのようなホテルをオープンさせた背景としては、FlyZoo Hotelを自社のAIなどの技術力の高さを見せるショーケースとして位置づけ、自社製品をホテル業界へと売り込んでいくことにあるという。
それだけではない。FlyZoo Hotelは人を介さない商業形態における顧客満足度がどれほどのものかを図る試金石としても位置付けられているという。
これについてアリババによるホテルグループ「Alibaba Future Hotel Management」でCEOを務めるAndy Wang氏は、“サービスの効率性と整合性”を口にする。
この“整合性”ということに関してWang氏は、ロボットが“人の機嫌に左右されない”ことを指摘し、「時に我々は機嫌が悪いようなことを言うが、システムやロボットは常に機嫌が良い」とコメントしている。
チェックイン時も機械がお出迎え
一方、気になるのはFlyZoo Hotelが、ロボットとAIを駆使して提供するサービスの中身だ。
ホテルを訪れ第一に行うべきはチェックインだが、FlyZoo Hotelではこれももちろん全自動。
大人の腹部ほどの高さのある機械が顔認証、さらにはパスポートやその他IDの確認を自動で行ってくれる。
中国のID番号を持つ場合には、スマートフォンで顔認証を行い、チェックインすることも可能とのことだ。
FlyZoo, hoteli i parë robotik https://t.co/dW0DI06BTb pic.twitter.com/oeGis83GPD
— Ndertimi.info (@NdertimiInfo) January 24, 2019
至る所に備わる顔認証機能
さらに顔認証機能は、ホテルのさまざまな場面において備わっている。
エレベーターもそんな顔認証機能の付いたものの1つ。エレベーターの中で認証を行うと、自動で宿泊階まで客を運んでいってくれる。
The 290-room FlyZoo is an incubator for technology #Alibaba wants to sell to the hotel industry in the future and an opportunity to showcase its prowess in artificial intelligence #AI https://t.co/nsSElxWf07 pic.twitter.com/RAlT6zrY60
— Disruptive.Asia (@DisruptiveAsia) January 25, 2019
また部屋のドアも顔認証によって開閉。この機能は利用客からも人気のようで、ホテルに宿泊したTracy Li. Li さんも部屋のドアの顔認証機能に対する好感度を話す。
「1分以内に自分の部屋に入れます」と顔認証機能の便利さを強調するとともに、自分自身の顔認証なくしては部屋に入ることが出来ないため、安全面においても満足しているとする。
レストランとバーではロボットが大活躍
ホテルの部屋においても、サービスはロボットとAIにより全自動で提供される。
部屋の中には音声認識技術が備わっており、室温や照明の調整、カーテンの開閉、さらにはルームサービスのオーダーまでもが音声認識によって行われるという。
Chinese Internet giant #Alibaba has opened a hotel loaded with AI and robots, automating a series of procedures like check-in, lights control and room service. #FlyZoo Hotel, opened in Hangzhou, where Alibaba is headquartered, is known as the company's first "future hotel". pic.twitter.com/5h1NSQ28r9
— ShanghaiEye (@ShanghaiEye) December 26, 2018
しかし、さらに驚くべきはホテルのレストランとバーだ。
こちらでは宿泊客がホテルのアプリを通じて注文した食事を、ロボットが運ぶ。
一方ホテルのバーでは、ロボットが20種類以上ものカクテルを作り提供するという。
この際の料金の支払いも、顔認証によりホテルの宿泊料に自動で追加されるとのことだ。
Flyzoo Hotel, which is Chinese ecommerce and media giant @AlibabaGroup’s first future hotel, opened today in Qinchengli, a shopping center owned by Alibaba, in Hangzhou, Zhejiang Province. https://t.co/bvqdxeco7M pic.twitter.com/atgqOsd8Vd
— Global Times (@globaltimesnews) December 18, 2018
ホテルには改善されるべき点も
ちなみに気になるホテルの宿泊料は、1390元(約2万2500円)からとのこと。
またホテルの宿泊客に対するサービスは基本的には全自動で行われる一方、人間の従業員も勤務しているという。
Wang氏はさらに、ホテルのサービスの中には中国のIDを持つ人しか受けられないものもあり、改善されるべき点が多々あることをも認めている。
最近では“世界で初めてロボットが働くホテル”として名を馳せる「変なホテル」が宿泊客からの苦情を受け、多くのロボット従業員を“解雇”したとのことも伝えられている。
オープンして間もないFlyZoo Hotelがどのようにして全自動で顧客満足度を高めていくことができるのか、今後を見守っていきたいところだ。(了)
出典:Business Insider:Inside Alibaba’s new hotel in China that looks like a spaceship and is staffed by robot bartenders(1/22)
出典:HOTEL MANAGEMENT:Alibaba Group unveils its first ‘future hotel’(2018/11/9)