史上初のブラックホールの画像、撮影に貢献したのは29歳の女子大学院生だった!
今週、世間を大いに賑わせている、史上初となるブラックホールの画像。
その撮影に多大な貢献をしたのが、弱冠29歳の女学生であったことをご存じだろうか。
撮影に不可欠なアルゴリズム開発
不可能とされてきたブラックホールの視覚的な画像の撮影に成功したとのニュースが飛び込んできたのは、今月10日のこと。
画像の撮影は世界中の科学者200人以上が協力し、可能となったとされている。
しかし、この中でも撮影の成功に最も大きく貢献したとされているのが、ケイティ・バウマン(Katie Bouman)さん(29)だ。
バウマンさんは今回の撮影に不可欠であった、アルゴリズムの開発を担っていた。
彼女がこのアルゴリズムの開発を率いたのは、3年前ほど前のこと。当時バウマンさんは、米国マサチューセッツ工科大学のコンピューターサイエンスと人工知能分野における大学院生だった。
またここ数年間にわたって、バウマンさんは画像の検証や、画像パラメータの選出を指揮してきたという。
データの空白部分を埋めたアルゴリズム
ブラックホールは地球から非常に遠く、さらに周囲の物質と相互作用を行うことで影を発することはあるものの、定義上は不可視とされており、その写真を撮影するのは簡単なことではない。
そのためブラックホールの撮影に向けては、国際的なプロジェクトである「Event Horizon Telescope」のもと、“干渉法(超長基線電波干渉法)”と呼ばれる方法を用いて、世界中の望遠鏡から数百万ギガバイトにも及ぶ大量のM87銀河に関するデータを収集。しかし、それらのデータにはまだ埋められるべき空白が存在していたという。
そんな空白部を埋めることとなったのが、バウマンさんが開発したアルゴリズムだ。
バウマンさんが開発したもの以外も含めた複数の画像処理アルゴリズムにより、研究者らは望遠鏡が捉えた“まばらで粗いデータ”をつなぎ合わせ、今回の画像を作成することが出来たという。
「私たちは合成のデータを作成する方法を開発し、異なるアルゴリズムを用いて画像を回復できるかどうか見極めるため闇雲に試験を行いました」と語るバウマンさん。
バウマンさんは異なるアルゴリズムを用いた理由について、ただ一つのアルゴリズムに頼るのではなく、複数の異なる仮定に基づいたアルゴリズムを開発して、それらを用いた結果、全てのアルゴリズムにおいて同様の画像が得られれば信頼の足る結果となる、とも付け加えている。
結果的に研究者らは複数の画像の作成に成功。その全ては同じように見えたという。
若い研究者らの活躍により成功
マサチューセッツ工科大のヘイスタック観測所に務める研究者ヴィンセット・フィッシュ(Vincent Fish)氏は、今回の成功におけるバウマンさんの貢献について、「バウマンさんは画像処理を行う複数のサブチームの中の一つにおいて、主要な役割を果たしていました」とする。
今回の研究においては、主幹級の研究者ももちろん携わっていたものの、フィッシュ氏によるとバウマンさんのような若い研究者の活躍が目立っていたとのこと。
中でも画像作製に関わる分担においては、大学院生や博士研究員らの若い研究者がその大半を率いていたという。
「我々の中の誰か一人が、単独でそれを出来たわけではありません」というバウマンさん。
「多くのバックグラウンドを持つ異なる人々が携わり、それは成し遂げられたのです」
I'm so excited that we finally get to share what we have been working on for the past year! The image shown today is the…
バウマンさんは、今秋助教授としてカリフォルニア工科大学での勤務を開始させる予定だという。
史上初となるブラックホールの写真撮影に大きく貢献したバウマンさん。若い彼女が今後どのような活躍を見せてくれるのか楽しみだ。(了)
出典:CNN:That image of a black hole you saw everywhere? Thank this grad student for making it possible (4/11)
出典:CNN:史上初、ブラックホールの撮影に成功 「地球サイズの望遠鏡」が捉える(4/11)