香港デモを忘れない 若者たちが食べる催涙ガス味のアイスクリーム
香港のアイスクリームショップが、異色のアイスを売り始めた。それは、香港デモの味と言っていい「催涙ガス味」のジェラート。人々の心の中に、香港デモを生き続けさせておくためだという。
催涙ガス味
アイスクリームショップの名は「Songo Galato」。香港市内の店だが、詳しい所在地は明かされていない。店のオーナーは、当局の追求を恐れてか、自身の名前を伏せたままメディアの取材を受けている。その中で、新しい味についてこう話す。
「去年、数ヶ月にわたって続いた香港のデモで、警察は参加者に対して催涙弾を撃ち込みました。それは鼻や口にヒリヒリとした刺激のあるガスです。新しいアイスクリームは、その刺激を思い出させるものです」
オーナーは、この味を作るために試行錯誤したという。ワサビやマスタードなど、様々な香辛料の組み合わせを試し、最終的には黒コショウに落ち着いたそう。作り方についてこう説明する。
「粒の黒コショウをローストしてから細かく挽きます。それを、イタリアンスタイルのジェラートに混ぜ込みます。結構辛いのですが、わざと辛さを強調して、喉にヒリヒリする後味が残るように作っています。それが催涙ガスを吸い込んだときの感じと同じだからです」
意外な人気
このジェラート、1カップの値段は日本円にして500円ほど。現在は新型コロナウイルスの影響で店全体の売り上げが落ちているが、それ以前は1日20〜30カップ売れるヒット商品だったそう。
海外の動画ニュースチャンネル「Ruptly」で、マスクをした若者たちで賑わう、現在の店内の様子を見ることができる。「催涙ガス味」を食べた一人は、思わず笑い出しながらこう言う。
「確かに催涙ガスみたいな味です。最初は息ができない感じになって、次にはものすごい辛さが来る。その後もヒリヒリ感が続く。デモで体験した辛い思いがフラッシュバックしますね。けれど、その辛さを忘れてはいけないと思うんです」
新型コロナウイルスのせいで香港デモは消えた。だが、感染収束が見込まれる夏頃には再燃すると見られており、香港政府は規制を強めているとのこと。(了)
※追記
現在、香港には中国政府が直接法律を制定できる「国家安全法」が導入されようとしている。
この法案に関して、中国の全国人民代表大会(全人代)の議題になることが21日、明らかにされた。この法案について全人代常務委員会の王晨副委員長は、「反逆や分裂、反乱、転覆の行為を抑制する法律を香港が成立させる義務の遂行に役立つ」と指摘。この措置には香港でのテロ活動や外国の干渉に対抗する狙いもあると述べた。
香港の民主活動家は22日、公表された国家安全法案に抗議するよう呼び掛けた。この法案は28日までに全人代を通過する見込みとされている。
中国政府による香港の完全破壊が始まった。昨日、中国全人代が香港に直接「国家安全法」を立法することを発表した。これは、香港の立法会で審議せず、中国政府が直接香港の法律を制定するということ。デモ活動や国際社会との交流などがこれから違法となる可能性が高い。一国二制度の完全崩壊です。
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) May 21, 2020
今回の国家安全法は明らかに国際社会との交流を狙って作った法律です。過去数年間、香港人と国際社会との繋がりが増え、米国では香港人権民主法案も可決。私が所属する政治団体デモシストは最も国際連携の多い団体として、これから活動禁止されるかもしれませんが、諦めず戦っていきたいと思います。
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) May 22, 2020
ちなみに周庭さんは先日、初めてツイッターライブを行っている。こちらも是非。
初めてのツイッターライブ https://t.co/IiMRyNUpV8
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) May 17, 2020
出典元:The New York Times:Hong Kong Shop Offers ‘Tear Gas’ Flavor Ice Cream(5/14)
出典元:Odditycentral:Hong Kong Shop Unveils “Tear Gas” Flavor Ice Cream in Memory of Recent Protests(5/19)