スペインで再び素人が修復に失敗!名画の聖母マリアが哀れな顔に…。
スペインで素人が名画を修復しようとして、再び失敗していたことが明らかにされた。
修復すればするほど原型をとどめず
修復されていたのは17世紀、バロック期のスペイン画家、バルトロメ・エステバン・ムリーリョの油絵「無原罪の御宿り・ベネラブレス(The Immaculate Conception of Los Venerables)」のコピーだ。
この絵画の所有者で、バレンシア在住のアート・コレクター(匿名)は1200ユーロ(約14万5000円)を支払って、家具の修復を手掛ける人物に絵画のクリーン作業をするよう求めたという。
しかし、作業をするうちに聖母マリアの顔が変形。さらに1回だけでなく、2回も修復を試みた結果、完全に絵を台無しにされ、所有者も怒っているそうだ。
実際、修復された聖母マリアの顔は、以前の面影すら残っていない。右上が1回目の修復の時の絵、右下が2回目の修復時の絵。
スペインにおける修復の現状とは?
文化遺産保存修復の専門家である、Galician SchoolのFernando Carrera教授は、取材に対し、適切に訓練を受けた修復師のみが行う必要性を強調。その上で次のように述べている。
「私はこの男(今回修復した人物)、またはこれらの(今までの)人々も、修復師と呼ばれるべきではないと思っています。正直に言いましょう、彼らは物事を台無しにするヘボ職人です。彼らは作品を破壊します」
スペインの法律では現在、必要なスキルが不足している人でも、芸術作品の修復プロジェクトに参加することが許されているという。
「想像できますか、他の人々を手術するのが、誰にでも許されることを?または薬剤師の免許もないのに、薬を販売することが許される人を?または建築家ではない人が、建物を建てることが許されるのを、想像できますか?」
規制し、訓練を受けさせる必要がある
Carrera教授は、今の社会において修復師が医者ほど重要視されていないと認めつつ、スペインの文化的な歴史のためにも、この分野は厳しく規制される必要があるとし、次のように述べている。
「私たちは何度も、この種のことを繰り返し見てきています。しかしそれは未だに起こり続けているのです。逆説的に言えば、このことはプロの修復師がいかに重要かを示しています。私たちは、自分たちの遺産に投資をする必要があります。しかしお金の話をする前に、私たちはしっかりと、この種の作業に参加する人々にトレーニングを受けさせる必要があるのです」
また、スペインの保存修復師専門家協会の副会長の1人であるMaría Borja氏も、今回の絵画のような災難は、不幸なことに、人々が思うほど珍しいことではないと指摘。「人々が新聞やソーシャルメディアに報告する時だけ、私たちはこのようなことを発見しますが、訓練を受けていない人々によって作業がなされるような状況は、無数にあるのです」と述べている。
スペインでは2012年、教会にあったエリアス・ガルシア・マルティネスのフレスコ画「この人を見よ」にも、同様の災難が発生。素人である当時80歳のセシリア・ヒメネスさんが修復した結果、「サルのようなキリスト」に変えられてしまった。(了)
出典元:artnet:Spain Has Been Hit by Yet Another Bungling Restorer, Who Turned This Virgin Mary Painting Into an Unrecognizable Blob(6/22)
出典元:The Guardian:Experts call for regulation after latest botched art restoration in Spain(6/22)