車にひかれても潰れない、驚異の体をもつ甲虫の秘密に研究者が迫る
新しい素材の開発をしている研究者が、ある昆虫の驚くべき性質を明らかにした。
150ニュートンまで耐えられる
その研究を進めているのは、アメリカのパデュー大学やカリフォルニア大学アーバイン校などの研究者たちだ。
彼等は、主に北米の西海岸で見られる「コブゴミムシダマシ(Phloeodes diabolicus)」と呼ばれる昆虫に着目。岩のように堅い「鎧」の強度や構造などを調べたという。
その結果、この虫は車で踏まれても潰れず、「鎧」が150ニュートン(自身の体重の3万9000倍:Natureでは149ニュートン)まで耐えられることを明らかにした。
進化の過程で飛ばなくなった
研究者たちは、上皮の構造実験を行う上で最新の電子顕微鏡や分光計を用い、「コブゴミムシダマシ」の外骨格の内側にある構造のデザインを調べたという。その結果、驚くべき強度を持っていることが明らかとなる。
「コブゴミムシダマシ」には2つの鎧のような「前翅(鞘翅)」があるが、これは通常甲虫が飛ぶ時に翼を展開するために使われており、「縫合線」と呼ばれる接続部で合流するという。
しかし多くの甲虫が数億年前から空を飛んでいるにもかかわらず、「コブゴミムシダマシ」は進化の過程で飛ぶことをしなくなったそうだ。
そして「前翅」を飛ぶことに使わない代わりに、「上翅」と「結合縫合線」を体の内側にかかる力を等しく分散させるために使用しているとか。
ジグゾーパズルのように作用する
今回、研究に携わったPablo D. Zavattieri教授によれば、接続部の「縫合線」はジグソーパズルのように作用し、腹部にあるさまざまな外骨格の翅と繋がり、それらが抜けないようロックがかけられているという。
そしてもし「縫合線」が破壊されても、他の防御的なメカニズムが作動し、翅がゆっくり変形。虫の首を折るような急激なエネルギーの放出を防ぐそうだ。
この結果、研究者たちは接合部の幾何学的形状と微細な積層構造が、外骨格の優れた機械的なかみ合いと高靭性化をもたらしたと突き止めた。
通常、車にひかれた場合、体には100ニュートンの力が加わるが、この構造のために「コブゴミムシダマシ」は決して潰れないとか。
研究者はさらに調査を進めて、新たな素材の開発を望んでいるという。(了)
※今回の記事内容は、十分とは言えないため、下記の記事も是非、参考にしていただきたい。
出典元:ABC7:How the diabolical ironclad beetle is virtually ‘uncrushable’(10/22)
参考:Nature:動物学:「押しつぶされない」コブゴミムシダマシの秘密(10/22)
参考:SPUTNIK:車に轢かれても生き残る昆虫 その強さが研究で明らかに(10/23)