中国が月で新鉱物を発見、エネルギー源になる可能性も
中国が月から持ち帰った鉱物が、地球に存在しない新たなものであると認定された。これにより中国は、アメリカ、ロシアに続いて、月で新鉱物を発見した3番目の国となった。
嫦娥石
中国語では嫦娥石(和名:じょうがせき)、英語ではChangesite-(Y)と命名されたその鉱物は、中国の月探査機「嫦娥5号」が地球に持ち帰った石や砂に含まれていたもの。北京核工業地質研究所の科学者グループが、最先端技術を用いて、結晶粒子の存在を特定した。
化学的に見ると、嫦娥石はリン酸塩鉱物の一種の柱状結晶体。中国核工業集団公司のWang Xuejun氏によれば、発見された結晶は直径約10ミクロン(マイクロメートル)、人の毛髪の太さの10分の1ほどだそう。
世界38カ国の団体によって構成される国際鉱物学連合は、中国から提出された資料を精査し、嫦娥石を新たな鉱物として正式認定した。これによって中国は、月で新鉱物を発見した3番目の国となった。また、人類が月で発見した新鉱物として、嫦娥石は6番目のものとなる。
核融合の燃料になる可能性
前出のWang氏によれば、嫦娥石にはヘリウムの同位体であるヘリウム3が含まれているとのこと。このヘリウム3は、核融合発電の燃料になるそうだ。月面に核融合炉を建設し、月面基地の電力を賄うということも、あながち夢ではなくなってきた。
中国は、宇宙飛行士を月面に送り、月面基地を建設して長期滞在させることを最終目的とした長期プロジェクト、「嫦娥計画」を推進している。今回、鉱物のサンプルを持ち帰った探査機「嫦娥5号」はその一環。
嫦娥石の発見で中国政府は気を良くしたらしく、海外メディアによれば、今後10年の間に3つの月探査ミッションを実施することに決めたそうだ。今後、月での資源採掘をめぐって、中国とアメリカの宇宙開発競争が激化するだろうと報じられている。NASAは現在、月の南極の調査を進めており、中国はロシアと協力して、やはり南極にリサーチステーションを建設する予定。(了)
出典元:South China Morning Post:Chinese scientists declare discovery of new moon mineral from lunar rock samples brought back in 2020(9/9)
出典元:Insider:China plans three missions to the Moon after discovering a new lunar mineral that may be a future energy source(9/11)
出典元:Wikipedia:嫦娥石
出典元:Wikipedia:嫦娥計画