ゼレンスキー大統領が首都から逃亡?動画はスクリーンによる特撮?偽情報が流布
10月10日、ロシア軍はウクライナの各地にミサイル攻撃を行ったが、その後ゼレンスキー大統領が首都キーウを離れたと、ロシアメディアが報じている。
西部のリビウに避難したと主張
ロシアの「プラウダ」は、元ウクライナ下院議員イリア・キヴァ氏の主張を引用し、ゼレンスキー大統領が10月10日にキーウを離れ、ポーランド国境付近の都市に向かったと報じた。
キヴァ氏は10日の午前に、テレグラムでゼレンスキー大統領はキーウから逃亡したと投稿。さらに別の親ロシア派の弁護士も自身のフェイスブックで、ゼレンスキー大統領がウクライナ西部の都市、リビウに避難したと主張した。
もっともその後、ゼレンスキー大統領は、首都キーウにある大統領府から国民に向けた動画を投稿。しかしキヴァ氏は、これらの動画はグリーンスクリーンを使って撮影された映像だと主張した。
「プラウダ」は彼らの主張を採用し、すでにゼレンスキー大統領がキーウにいないと報じたという。
大統領府での動画に不自然さはなし
しかしゼレンスキー大統領が、キーウから逃亡し、避難したという情報はフェイクであると判明した。
10日にロシアによる空爆があった時に、ゼレンスキー大統領は自身の公式インスタグラムで動画を公開。その中で国民に向け、事態の深刻さを語り、ロシアの行動をテロと呼び、空爆された都市の名前を伝えた。
その動画はキーウにある大統領府で撮影されたもので、やはり不自然な点はない。
またその日の夜にも、ゼレンスキー大統領は別の動画を投稿。建設機械が動いている現場で、復旧作業の状況を語っていた。
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10日の夜には米大使とキーウで会談
さらにゼレンスキー大統領は10日の夜には、首都キーウで在ウクライナのアメリカ大使と面会している。
この時の写真はゼレンスキー大統領自身もSNSに投稿しており、アメリカのBridget A. Brink大使自身も、ツイッターに会談の様子を写した写真を投稿している。
🇺🇸 Undaunted. Слава Україні!
🇺🇦 Непохитні. Слава Україні! pic.twitter.com/z2hiIVrhiE— Ambassador Bridget A. Brink (@USAmbKyiv) October 10, 2022
この会談の写真を見たキヴァ氏は、自身のテレグラムで「ゼレンスキーは米国大使と会うために力づくで(リビウからキーウに)連れ戻された」との苦しい言い訳をしたという。
そもそもウクライナへの侵攻が始まってから、これまでもゼレンスキー大統領がウクライナから脱出したとの偽情報が流布されてきた。
しかし、ゼレンスキー大統領は演説や発言の中で、首都キーウに留まり、国外に出るつもりはないことを何度も強調している。
出典元:MYTH DETECTOR:DISINFORMATION AS IF ZELENSKYY LEFT KYIV(10/11)