米中間選挙で異例の事態、死亡していた候補者が当選してしまう
アメリカの中間選挙で、奇妙な出来事が起きた。亡くなっていた候補者が再選されたというのだ。
85%の得票率を獲得
その候補者とは、ペンシルバニア州議会で最も長く下院議員を務めた、民主党のAnthony “Tony” DeLuca氏だ。
85歳のDeLuca氏は、10月9日にリンパ腫のため亡くなったが、死去した時点で、投票用紙を変更したり、別の候補者を擁立したりするには遅すぎたそうだ。
その結果、11月8日に行われた州議会の選挙で、85%以上の得票率を獲得し再選された。対立候補である「緑の党」のQueonia “Zarah” Livingston氏の得票率は、14%以上に留まった。
While we’re incredibly saddened by the loss of Representative Tony DeLuca, we are proud to see the voters to continue to show their confidence in him and his commitment to Democratic values by re-electing him posthumously. A special election will follow soon. pic.twitter.com/CfLnSCuvK9
— PA House Dems (@PAHDCC) November 9, 2022
「補欠選挙」を実施予定
ペンシルバニア州下院民主党選挙委員会は、ツイートで次のように述べている。
「Tony DeLuca下院議員の死去は信じられないほど悲しいが、死後も有権者が彼を再選させ、民主党の価値観への信頼を示したことを誇りに思います」
ただし候補者が死後に当選する理由として、有権者の時事問題に対する意識の低さ(候補者が生きているかどうかなどの問題)を挙げる人もいれば、有権者が単に一番知っている名前を選んでいるのではと指摘する人もいるという。
再選された人が死亡していたことを受け、今後ペンシルベニア州では「特別選挙(補欠選挙)」が行われることになるという。
死者の当選は今回が初めてではない
もっとも亡くなった候補者が当選するのは、これが初めてではない。
2018年には、売春宿の経営者デニス・ホフ氏が選挙の前月に亡くなったにもかかわらず、共和党員としてネバダ州の上院で議席を獲得したそうだ。
ただし、ペンシルベニア州とは異なり、その後補欠選挙は行われなかった。ネバダ州の法律では、郡当局がホフ氏の後任に共和党員を任命することができたという。
DeLuca氏は、39年間ペンシルベニア州第32選挙区の下院議員を務め、この20年間は下院保険委員会の民主党委員長を務めたとされている。(了)
出典元:The Guardian:Democrat re-elected by a landslide in Pennsylvania – even though he’s dead(11/9)