「まさに奇跡だ」タイで絶滅危惧種のトラの繁殖が確認される
絶滅危惧種のインドシナトラの群れが発見され、繁殖が確認されたとして注目を集めている。
●4頭のメスと6頭の子供を確認
トラの群れが発見されたのは、東部にあるタイ国立公園。野生大型ネコ科の保護団体「Panthera」、そして反密猟団体の「Freeland」は、国立公園の協力を得て森の各地に隠しカメラを設置し、1年間インドシナトラの状況を観察してきたという。
そして今回、少なくとも4頭のメスと6頭の子供が確認され、世界で2例目となる繁殖したインドシナトラの存在が明らかになった。
これを受けタイ国立公園と「Panthera」、そして「Freeland」は3月28日、共同声明を発表。
現在、221頭のインドシナトラがタイやビルマに生息しているとみられ、個体数がわずかだが上昇に転じていると伝えた。
●10万頭から現在は3900頭と激減
そもそもこれまでトラは違法な密猟などにより、世界的にも個体数が急激に減少してきたとされ、100年前に10万頭いたのが今では3900頭にまで減っているという。
またインドシナトラに関しても世界の一部の地域で約350頭の生存が確認されているだけで、中国南部やカンボジア、ラオスではほとんど絶滅しかかっているそうだ。
しかし今回、繁殖が確認されたことで保護団体は、タイ当局の取り締まり強化が違法な密猟との戦いにおける成功例になるとして、彼らを称えている。
●「再び増えるのは奇跡だ」
しかしBBCによれば、タイはこれまで森林破壊が進み、国立公園でさえ違法伐採と密猟が横行していたという。
そして1980年代にはカンボジアやラオス、ミャンマーなどにトラがまだ多く残っていたが、タイは減少傾向にあり絶滅寸前だと言われてきたそうだ。
しかしその後、森林の保護活動に取り組み、密猟対策も行いトラを守ってきたという。
Pantheraの最高経営責任者、Alan Rabinowitz氏はIndependentの取材に対し、次のようにコメントしている。
「ここは世界でもっとも保護された場所で、世界に残されたトラにとって一番良いエリアです。タイはトラを保護できること、また個体数を戻せることを示しました」
さらにPantheraの保護プログラムの責任者、John Goodrich氏も「東部に住むトラの驚くべき増加は、まさに奇跡です」と語っている。(了)
出展元:INDEPENDENT:‘Miraculous’ discovery of ultra-rare Indochinese tigers in Thailand(3/29)
出展元:BBC:New population of rare tigers found in eastern Thailand(3/28)
出展元:AFP:野生インドシナトラの繁殖、タイで世界2例目の確認 「奇跡的」(3/29)