絶滅寸前のオウム「カカポ」に、世界で初めて脳の手術が行われ成功
飛べないオウムの一種として知られるカカポ。この種を守るために、先日ニュージーランドで脳の手術が行われた。
カカポの頭に腫れ物を発見
そのカカポはニュージーランド南部のCodfish島で孵化し、まだ生後56日しかたっておらず、「Espy 1B」という名前が付けられていたそうだ。
しかしその後、レンジャーが「Espy 1B」の頭部に見慣れない腫れ物があるのを発見。このため動物保護局のカカポ再生チームが、ケアを行ってきた。
そして先日、「Espy 1B」は飛行機でMassey大学のWildbase病院へ運ばれ、先々週に脳の手術を受けたという。
薄い組織の層しかなかった
手術は獣医が行ったが、人間や他の哺乳類で用いられる技術が使われ、「Espy 1B」の頭部に穴があけられて、頭蓋骨の変形が修正されたという。
そして手術は成功したが、かなり困難を伴ったようだ。Wildbase病院の院長であるBrett Gartrell教授は、次のように語っている。
「そのヒナの脳と外界との間には、薄い組織の層しかありませんでした。(略)この鳥を救うには、リスキーな手術が必要でした。このような鳥類への医療の試みが行われたことはありません」
また手術の結果、頭蓋骨のプレート部分は完全にはつながっておらず、泉門(頭蓋骨の境目)はいまだに開いたままで、ヒナの脳の一部ははみ出した状態だとか。
現在は144羽しか残っていない
カカポはニュージーランドの固有種だが、密猟や生息域の減少、捕食者の餌食になるなどして数を減らし、現在は144羽しか残っていないという。
そのため国際自然保護連合(IUCN)によってレッドリストに登録され、絶滅寸前の種に指定されているそうだ。
今回の手術はそんな絶滅が危惧される種を守るために行われたが、手術を終えたヒナは現在、目覚しい回復ぶりを示しているという。(了)
A young kākāpō chick has had life-saving brain surgery at our Wildbase Hospital after @docgovtnz discovered there was only a thin layer of tissue between it's brain and the outside world. The chick, Espy 1B, is recovering well and will soon return home! https://t.co/h0zJVDzzzg pic.twitter.com/hkQy1u4xSc
— Massey University (@MasseyUni) May 9, 2019
出典元:BBC:Endangered kakapo parrot gets pioneering brain surgery(5/10)
出典元:The Telegraph:Critically endangered kakapo parrot gets pioneering brain surgery(5/10)