絶滅したタスマニアタイガーを遺伝子操作で再生、ジュラシックパークのようなプロジェクトがスタート
オーストラリア・メルボルン大学の科学者チームとアメリカの企業が協力して、SFめいたプロジェクトをスタートさせた。約90年前に絶滅したタスマニアタイガー(和名はフクロオオカミ)を、ゲノム編集によって蘇らせようというのだ。
絶滅したタスマニアタイガー
メルボルン大学の科学者チームは、今月16日、タスマニアタイガーの再生を目指して、遺伝子工学を専門にするバイオ企業「Colossal Biosciences」と提携したと発表した。
タスマニアタイガーは、オオカミの一種でありながら、子供をお腹の袋で育てる有袋類でもあるという珍しい動物。正式名はサイラシン(Thylacine)だが、背中にトラを思わせる縞模様があることから、タスマニアタイガーとも呼ばれている。
大昔にはオーストラリア一帯に生息していたが、人類の進出によってタスマニア島に追いやられ、1936年に絶滅した。それ以降も不確かな目撃情報はあるが、生存しているという確実な証拠はないそうだ(Wikipedia)。
プロジェクトのリーダーであるメルボルン大学のAndrew Pask教授はこう話す。
「1世紀ほど前に乱獲によって滅ぼされたサイラシン(タスマニアンタイガー)ですが、今回の提携によって、我々は今後10年以内に、その生きた赤ちゃんを手にすることができると見込んでいます」
ゲノム編集で遺伝子情報を再現
プロジェクトチームは、タスマニアンタイガーのゲノム(遺伝子情報)解析を行い、その遺伝子と同じものを他の動物の遺伝子をベースにして人工的に作る予定だ。前出のPask教授によると、
「我々はスミントプシス(dunnart/タスマニアンタイガーと最も近縁の小型有袋類)の生きた細胞を取り出し、そのDNAをタスマニアンタイガーのものと比べ、あらゆる相違点を編集していきます。つまり、スミントプシスの細胞を加工して、タスマニアンタイガーの細胞を作るようなものです」
こうして出来たタスマニアンタイガーの細胞は、幹細胞を利用して妊娠初期の胎芽に変換され、代理母となる動物の胎内に移されるそう。
プロジェクトが成功すれば、絶滅した他の様々な動物を復活させることも可能になりそうだ。(了)
出典元:CNN:Scientists plan the resurrection of an animal that’s been extinct since 1936(8/16)
出典元:International Business Times:Tasmanian Tiger Resurrection: How Scientists Plan To De-Extinct The Animal In Multimillion-Dollar Project(8/17)