【動画】アフリカ開発会議にて、アルジェリア代表がモロッコ代表を投げ飛ばす
8月23日、東京で開催されていたTICAD(Tokyo International Conference on African Development:アフリカ開発会議)の準備のための会合にて、アルジェリアの代表がモロッコの代表を投げ飛ばす出来事があった。
サハラ・アラブ民主共和国代表を守るため
その様子は映像に収められ、SNSで拡散されている。
During the TICAD meeting today 23 August, in Tokyo, Japan, a Moroccan diplomat from the Embassy of Morocco in Addis Ababa attempted to forcibly remove the nameplate of the Sahrawi Republic. In the video the Ambassador of Morocco to the AU, Mr. Alarrouchi, rushed to support his… pic.twitter.com/GXEt5y5I9n
— Charles Onyango-Obbo (@cobbo3) August 23, 2024
サハラ・アラブ民主共和国(西サハラ)代表であるラミン・バーリ氏の背後から近づく、ひとりの男性。バーリ氏はその存在に気づくと、目の前のネームプレートを守るように抱きしめた。飛びかかるようにプレートを奪おうとした男性だが、止めに入った男性に投げ飛ばされる形で引きはがされている。
ネームプレートを奪おうとしたのは、モロッコ代表団のメンバーだ。サハラ・アラブ民主共和国は日本が承認していない国家であるため、モロッコから参加しないように要請されていた。止めに入った男性は、アルジェリアを代表するメンバーだ。アルジェリアや南アフリカなどは、サハラ・アラブ民主共和国を承認している。
サハラ・アラブ民主共和国は、モロッコ、モーリタニア、アルジェリアと国境を接する地域であり、「アフリカ最後の植民地」と呼ばれる土地だ。1976年にスペインが領有権を放棄したあと、モロッコが地域の大半を実効支配している。
ネームプレートが排除される
この出来事があった翌日の公式会合では、ラミン・バーリ氏の前にはサハラ・アラブ民主共和国のプレートは置かれていなかった。もともとプレートは会議が用意したものではなく、バーリ氏が持参したものであり、前日のような争いを避けるための措置だったと考えられている。
ただし、非公式なセッションでは、バーリ氏の前にサハラ・アラブ民主共和国のプレートが置かれていたという。
7年前の会議でも争いが
サハラ・アラブ民主共和国の出席を巡って混乱が起こるのは、今回が初めてではない。2017年にモザンピークでTICADが開催された際にも、モロッコの代表団がサハラ・アラブ民主共和国の関係者の入場を阻み、つかみ合いの争いに発展する事態が発生。開会式が2時間半も遅れる結果となっている。
TICADは、アフリカの開発をテーマとする国際会議だ。1993年以来、日本政府が主導し、国連やアフリカ連合委員会(AUC)らと共同で開催している。日本は国家として承認していないため、サハラ・アラブ民主共和国を招待することはないが、アフリカ連合委員会(AUC)が加盟地域としてTICADに招待したと考えられている。(了)
参考:ARAB NEWS「Morocco and Algerian representatives brawl at TICAD meeting in Tokyo」(8/24)
参考:ARAB NEWS「Polisario representative prevented from displaying the place name at TICAD opening meeting」(8/25)
参考:朝日新聞「西サハラの出席めぐりつかみ合いの争いに TICAD」(2017/8/25)
参考:外務省「アフリカ開発会議(TICAD)」
参考:国連広報センター「西サハラ」