米副大統領が、極右政党「ドイツのための選択肢」の党首と会談

アメリカのJ・D・バンス副大統領は2月14日、ドイツの極右政党の指導者と会談した。
ヨーロッパで最も危険な極右政党
バンス副大統領はドイツを訪問し、14日には極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル党首と会談したという。
会談では、ウクライナでの戦争やドイツ国内政治、そしてAfDが与党連合に加わるのを阻止する「右派に対する防火壁」について話し合われたそうだ。
AfDはヨーロッパで最も危険視されている極右政党で、昨年5月には、幹部が「ナチス親衛隊(SS)は、犯罪者ばかりではなかった」と発言したため、ヨーロッパの極右ポピュリスト政党の議会グループからも追放されている。
またドイツの裁判所も、AfDを民主主義に対する脅威の疑いがあると判決を下した。
しかし反移民や反イスラムを掲げるAfDは、数週間後に行われる総選挙で第2位に躍進するとみられ、ドイツ国内で右傾化が進むと考えられている。
そして極右のトランプ政権もAfDに好感を持っており、現在アメリカ連邦政府の解体を指揮しているイーロン・マスク氏も、「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と投稿し、党首とのライブ会談を行ったという。
演説でヨーロッパの首脳を批判
ワイデル党首と会談に先立ち、バンス副大統領はミュンヘン安全保障会議で演説し、ヨーロッパの首脳らが、AfDを支持する自由な言論を抑圧していると非難、次のように述べた。
「私がヨーロッパに関して最も懸念する脅威は、ロシアではなく、中国でもない。その他のいかなる外的主体でもない。私が懸念するのは内側からの脅威だ。ヨーロッパがその最も根本的な部類の価値観から後退してしまうことだ」
またバンス氏は演説で、他の主要政党がAfDの排除に動き、「右派に対する防火壁」を設置していると指摘。「民主主義の基礎は、(AfDを支持する人も含め)人々の声を重視するという神聖な原則にある。そこに『防火壁』を設置してはならない」と批判したという。
その上で「自国の有権者(AfDの支持者)を恐れて選挙活動を行っているなら、アメリカはあなた方のために何もできない」と脅したそうだ。
ネット上には、バンス副大統領の発言が「まるでロシア政府のようだ」との意見も出ている。(了)
出典元:The Guardian:JD Vance breaks taboo by meeting with leader of Germany’s far-right party(2/14)