トランプ政権、SNSを規制する人物へのビザ発行を停止

アメリカのトランプ政権は、SNSを規制している人物に対する、ビザの発行を取りやめると明らかにした。
米IT企業への「露骨な検閲行為」に対抗
そもそもトランプ政権は、海外の政府がSNS上でのヘイトスピーチや虐待的発言を規制しているとして、ドイツやイギリスを厳しく批判してきた。
そしてルビオ国務長官は5月28日、アメリカのIT企業に対する海外からの「露骨な検閲行為」に対抗するとし、アメリカにおいて「保護された表現」の検閲に関与している外国人へのビザ発行を制限すると述べた。
またルビオ氏は「外国当局者がアメリカのテクノロジープラットフォーム(SNS企業)に対し、不適切な投稿を監視する政策を要求したり、自らの権限を超えてアメリカにまで及ぶ検閲活動を行ったりすることも容認できない」と述べたという。
ブラジルでは偽情報対策をしない「X」が停止
もっともルビオ氏は、誰のビザを認めないのかは、明らかにしていない。ただ先週、「X」のオーナーであるイーロン・マスク氏と偽情報問題で対立している、ブラジル最高裁判事のアレクサンドル・デ・モラエス氏への制裁を計画していると示唆したそうだ。
モラエス氏は、偽情報を拡散するアカウントを削除するようSNSの「X」に命じ、命令に従うまで、ブラジル全土での利用を一時的に中止させた。
ドイツ政府も、ナチスの過去からの教訓を学び、過激派を排除すると述べ、ネット上のヘイトスピーチや偽情報を規制しているという。
そしてアメリカの国務省は5月27日、ヨーロッパ諸国がSNSでの検閲を行い、規制を行っていると非難した。
イスラエル批判をした学生のビザを停止
しかし検閲に関して言えば、アメリカ国内でも行われており、すでにトランプ政権はイスラエルによるガザ攻撃に抗議した学生を中心に、数千人のビザを取り消している。
実際、タフツ大学で博士課程に在籍するトルコ人学生、ルメイサ・オズトゥルク氏は、学生新聞において、ガザ問題における大学の立場を批判する意見記事を寄稿。その後、彼女は学生ビザを取り消され、マサチューセッツ州の路上で逮捕されて、連行されたという。(裁判所は最近、彼女の釈放を命じた)
また先日は、海外からの留学生を受け入れる際、過去のSNSでの投稿を調べ、審査を強化するとの方針を発表。その審査強化に関する新たなガイドラインを策定するまで、アメリカのビザを希望する学生との面談を、一時停止すると明らかにした。(了)
出典元:The Guardian:US will refuse visas to foreign officials who block Americans’ social media posts(5/28)