トランプ氏が、独立国家として承認したプーチン大統領の策を「天才的」と称賛
現在、世界を騒がせているウクライナ情勢について、日本を含めた西側諸国のリーダーたちは、こぞってロシアのプーチン大統領を非難している。ところが、次期大統領への返り咲きを狙うドナルド・トランプ氏の意見は、全く違うのだ。
プーチンは「天才的」
トランプ氏は、2月22日の朝、アメリカの保守系ラジオトーク番組「The Clay Travis & Buck Sexton Show」に出演し、プーチン大統領が見せたウクライナ問題への対応を褒めた。
ウクライナ領内には、独立を宣言したにもかかわらず、どの国からも承認されていない「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」があり、これら2国(あるいは2地域)の分離独立が今回の紛争のきっかけになっている。
プーチン大統領は22日、この2国を独立国家として認め、ウクライナに攻め入るのでなく2つの独立国を支援するという名目で、ロシア軍1万人を両国に送ることにした。このニュースを見たトランプ氏は、「これは天才的だ」と思ったそうだ。ラジオ番組の中でこう語っている。
「昨日行ったところにテレビがあって、(ニュースを見て)私は『これは天才的だ』と言ったよ。プーチンはウクライナの重要な地域について宣言したんだ。そこは独立国だ、と宣言した。見事じゃないか」
プーチンが派兵したのは「最強の平和維持軍」
トランプ氏は続けてこう話す。
「プーチンは今、ウクライナの大きな部分を、独立した国だと言っている。何て頭がいいんだろうな。次には兵をそこに入れて、平和維持軍にするつもりだろう。最強の平和維持軍だ。アメリカでも南の国境で使いたいくらいだよ。私が知る中で最強の平和維持軍だ。あれだけ多くの戦車は見たことがない。あの軍なら問題なく平和をもたらすだろうよ。いや、無理かもしれんが、そう考える価値はある。こういうことを心得た男なんだ……彼のことはよく知っているんだよ。とてもよく、ね」
実はトランプ氏以外にも、プーチン大統領の能力を賞賛する者もいるという。
例えばトランプ政権の元顧問であるスティーブ・バノン氏と、トランプ支持者のコメンテーター、ジャック・ポソビエック氏だ。彼らは、自分たちのポッドキャストにおいて、プーチン大統領の演説を賞賛している。
また親トランプ派の陰謀論や虚偽のニュースで人気を集めるサイト「ゲートウェイ・パンジット」はロシアの侵略を軽視。「ウクライナは300年以上前からロシアの一部だった」などと宣伝しているという。
さらにオハイオ州上院予備選の共和党候補、J・D・バンス氏は、スティーブ・バノン氏の番組で「(ウクライナの)紛争は自分に関係ない」と発言。「正直に言うと、ウクライナがどうなろうと、どっちでもいいんだ」と述べたそうだ。
一方、トランプ氏を批判してきた共和党のリズ・チェイニー下院議員は、今回の「天才」発言について、次のように述べている。
「トランプ前大統領の今日のプーチンへの崇拝は、彼を天才と呼ぶことも含め、我々の敵を助けるものだ。トランプの利益は、アメリカ合衆国の利益と一致しないようだ」
しかしなぜ、トランプ支持者は、プーチン大統領を支持しているのか?
実は2016年にトランプ氏が大統領選挙で当選する際、ロシアはヒラリー・クリントン候補の偽情報流し、選挙に介入したと疑われていた。
また2020年11月の大統領選挙でもロシアの情報機関は、トランプ氏の対立候補であるバイデン氏の不利になりそうな情報を流し、選挙プロセスそのものへの信頼を損なわせるため、偽情報を拡散する工作を行ったともいわれている。(了)
出典元:Metro:Donald Trump slams Joe Biden and calls Putin’s moves ‘genius’ as ‘10,000 Russian troops sent into Ukraine’(2/22)
出典元:The Clay Travis & Buck Sexton Show:Full Interview: President Trump With C&B From Mar-A-Lago(2/22)
出典元:NBC:Trump praises Putin’s ‘genius’ as GOP fissures grow on Ukraine crisis(2/23)