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コーネル大学の科学者が、原子の姿を過去最高の解像度で可視化

コーネル大学の科学者が、原子の姿を過去最高の解像度で可視化
Cornell University

アメリカ・コーネル大学の研究者グループが、過去最高の解像度で原子を可視化することに成功した。公開された画像はプラセオジム化合物(PrScO3)の結晶を1億倍に拡大したもので、光るドットのように写っているのが原子の姿だ。

 

照射した電子ビームの散乱を再構築

 

この画像の撮影には、電子顕微鏡ではなく、電子タイコグラフィー(electron Ptychography) という手法が用いられている。これは、電子ビームをサンプルに当て、通過して散乱したものをスキャンして集め、コンピュータで再構築するという電子イメージング技術の一つだ。

 

コーネル大学の研究者は、散乱した電子ビームを再構築する、コンピュータアルゴリズムを大幅に改良した。その結果、ピコメートル(ナノメートルの1000分の1)レベルの正確さで、原子の姿を捉えられるようになったという。大学のニュースリリースの中で、研究チームのリーダーであるDavid Muller教授はこう言っている。

 

この新しいアルゴリズムで、これまでの方法(電子タイコグラフィー)で発生するあらゆるボケをなくすことができました。残っているボケの要因は、原子そのものの震えだけです。

 

原子は運動エネルギーを持っており、常に細かく振動している。これは熱振動と呼ばれ、「原子の振動の平均スピードを、私たちは温度と言っている」のだそう。

 

Cornell University

 

原子の位置を3次元で特定できる

 

今回の成果は、どんなことに役立つのか? 同大学のニュースリリースによれば、個々の原子の位置を3次元で特定できるようになったことに大きな意味があるらしい。例えば、完全な結晶を阻害する不純物原子や、原子の異常な構成を発見できるようになり、これが半導体や量子コンピュータを含む量子素材の開発に役立つとのこと。

 

また、これまでと異なり、厚みのあるサンプルにも適用できるため、脳のシナプス結合などといった生体組織の詳細な分析も、原子レベルで可能になるという。

 

今回の研究は論文としてまとめられ、学術誌「Science」に発表されている。(了)

 

出典元:New Atlas:Imaging breakthrough highlights atoms in highest resolution ever(5/27)

出典元:Cornell Chronicle:Cornell researchers see atoms at record resolution(5/20)

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