ヨーロッパ各国が約200人のロシア外交官を追放、大量虐殺事件を受け
ウクライナで明らかになったロシア軍の大量虐殺への反応として、今週すでに約200人近いロシアの外交官がヨーロッパから追放された。
合計で325人以上を追放
2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻してから、すでにロシア大使などを含む外交官、100人近くがヨーロッパから追放されている。
そして今週、ドイツやフランス、イタリアなどからも206人の外交官が追放されることが明らかになった。
これにより追放されるロシアの外交官と大使館員は合計で325人以上となり、今後もさらに増えると予想されている。
ドイツでは40人を追放
ドイツのアンドレアス・ミヒャエリス国務長官は4日、ロシア大使のセルゲイ・ネチャエフ氏を呼び出し、指名された人物は5日以内に所持品をまとめてドイツを去るよう、通達したという。
その後、ドイツのアナレナ・ベーアボック外相は、ウクライナ難民の脅威となっている40人のロシア大使館員が退去しなければならないと述べた。
ドイツの情報筋によると、追放される予定の人々には、ドイツに拠点を置くウクライナの活動家や、到着したウクライナ難民にとって「具体的な脅威となる」人々が含まれているという。
ドイツではこれまでもロシア大使館員により、反ウクライナの活動が行われていると報告されてきた。
フランス、スペイン、イタリアなども続く
フランスも4日、35人のロシア外交官を追放すると発表。これはヨーロッパの共同行動の一環であるとし、追放の対象となった人物の活動は「我々の安全保障上の利益に反する」と説明した。
スペインは4月5日、25人のロシア外交官と大使館員に退去を命じた。
ホセ・マヌエル・アルバレス外相は「ロシア軍撤退後のブチャの町での市民虐殺の耐え難い映像は、我々を深く憤慨させる」とし、ロシアと外交官と職員は「国の利益に対する脅威」であり、直ちに追放されるだろうと述べたという。
イタリアも、ルイジ・ディ・マイオ外相が「国家安全保障上の理由」から30人に及ぶロシア外交官を追放すると発表。マイオ外相は、セルゲイ・ラゾフ駐伊ロシア大使を召還し、イタリア政府の決定を伝え、リストにある「歓迎されない人物」に指定されたと語った。
リトアニアのガブリエリウス・ランズベルギス外相も4日、リトアニアと「ウクライナ国民との完全な連帯」を示すため、ロシア大使の追放を行うと発表。また、自国の駐ロシア大使も近いうちに本国に戻るという。
スロベニアはすでに2日に、ロシアの外交官33人を追放すると発表しており、エストニアは、外交資格を持つ職員7人を含むロシアの領事館職員14人を追放すると発表している。
スウェーデン外務省は、「違法な活動」を行ったとするロシア人外交官3人に退去を指示した。
デンマークは、スパイ行為で直接関与したロシア情報機関職員15人を14日以内に強制退去させると発表。ただしデンマーク外務省は、モスクワとの外交関係を完全に断ち切ることは望んでいないため、ロシア大使の追放には踏み切っていない。
また先週には、すでにアメリカやオランダ、ポーランド、ブルガリア、スロバキア、チェコ、アイルランド、ベルギーから多数のロシア人外交官が追放されている。
この動きに対し、ロシア側は「これは二国間関係や外交協議のチャンネルに打撃を与えるものだ」と述べ、「報復措置」を取ると述べたという。(了)
出典元:The Guardian:EU allies expel 200 Russian diplomats in two days after Bucha killings(4/5)