ゼレンスキー大統領が米に結束を呼びかけ、トランプ派はウクライナへの支援を疑問視
ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカで中間選挙が行われる中で、支援の継続を求めた。
ゆるぎない結束の維持を求める
ゼレンスキー大統領は11月8日、中間選挙で共和党が勝利した場合の影響を危惧し、アメリカに結束を呼び掛けた。
というのも中間選挙で、民主党が下院と上院の支配権を失えば、民主党政権下でウクライナに提供される軍事的支援や莫大な資金援助が頓挫する可能性があるからだ。
ゼレンスキー大統領は、アメリカの政治家に対し「平和が回復するまで、ゆるぎない結束を維持」するよう呼びかけたという。
「ウクライナには1銭も渡さない」
もっともアメリカの共和党の多くの議員は、ロシアによる侵略で、自国を守ろうとするウクライナへの支援を支持しているという。
実際、ウクライナの問題はアメリカ議会でも党派を超えて強い支持を集める、数少ない問題の1つだったそうだ。
しかし中間選挙を前に、共和党内の特にトランプ派と呼ばれる議員らは、ウクライナへの資金提供の継続に疑問を投げかけている。
共和党の極右議員で、熱烈なトランプ支持者であるマージョリー・テイラー・グリーン氏は先月、アイオワ州で開かれたトランプ集会で、共和党が勝利すればアメリカの利益を最優先にすべきとして「ウクライナには1ペニーも渡さない」と述べたという。
This is exactly what Putin wants. If we’d had Republicans like this in the 1980s, we would have lost the Cold War. pic.twitter.com/vPYmYuj6ME
— Liz Cheney (@Liz_Cheney) November 4, 2022
また次期下院議長になる可能性のある共和党のケビン・マッカーシー氏も、ウクライナ問題は重要だが、共和党が議会を支配すれば(ウクライナ支援の)「白紙委任」はあり得ない、と述べたそうだ。
ペンス元副大統領は支援の継続を促す
一方、マイク・ペンス元副大統領は継続的な支援を促し、下院軍事委員会のマイケル・ウォルツ委員も、上院のミッチ・マコーネル氏など複数の主要な共和党上院議員と同様に、共和党員の大多数がウクライナへの支援を支持していることを強調したという。
その一方で、アメリカ政府は、戦争が長引くことを心配するヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカの同盟国をなだめるために、ウクライナにロシアとの停戦交渉に応じるよう求めたとも報じられている。
アメリカは資金的にも、ウクライナの最大の支援者で、ロシアの侵攻以来、ヨーロッパの同盟国のほぼ2倍の額にあたる189億ドル(約2.7兆円)に相当する援助をしてきたという。(了)
出典元:The Guardian:Ukraine urges US to ‘stay united’ as potential Republican win threatens aid(11/8)