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【COP27】被害に遭った途上国への支援基金創設に合意、しかし不十分との声も

【COP27】被害に遭った途上国への支援基金創設に合意、しかし不十分との声も
Twitter/COP27

第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)が11月20日に閉幕したが、多くの気候変動の専門家などは、今回の合意内容が不十分と考えているようだ。

 

「損失損害基金」の創設に合意

 

エジプトのシャルム・エル・シェイクで行われた「COP27」では、気候変動による損害と経済的損失に対して、豊かな国々が貧しい国々に資金を援助するという歴史的な取り決めがなされた。

 

この「損失損害基金(loss and damage fund)」は、気候変動に脆弱で、災害に見舞われた貧しい国を救済し、再建するために、先進国によって設立されることになる。

 

このような基金の創設は、過去30年に及ぶ気候変動協議において、発展途上国が要求し続けてきたもので、今回初めてそれが認められることになった。

 

しかしこの歴史的な取り決めにも関わらず、今回の会議では、すべての化石燃料を段階的に削減するという明確な約束がなされず、1.5℃に気温上昇を抑える目標への言及もほとんどなかったという。

 

「破局の瀬戸際にある」

 

今回の文書の採択において、産油国や高(二酸化炭素)排出国が、温室効果ガスや化石燃料の段階的な削減に関する主要な約束を、弱めたり削除したりしたという。

 

元アイルランド大統領で、国連気候変動特使を2度務めたメアリー・ロビンソン氏は、次のように述べている。

 

「世界は依然として、気候変動の破局の瀬戸際にあります。排出量削減の進捗はあまりにも遅すぎました。私たちはクリーンエネルギーへの転換期にいるのです。しかし、それはG20の指導者たちがその責任を果たし、約束を守り、意志を固めた場合のみです。その責任は彼らにあるのです」

 

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、次のように警告している。

 

「私たちの地球はまだ緊急治療室にいます。われわれは今、排出量を劇的に削減する必要があり、この問題は今回の会議では取り上げられなかった。世界はまだ気候に関する野心を大きく飛躍させる必要がある」

 

さらに2015年のパリ協定の立役者の1人で、欧州気候基金の最高責任者であるLaurence Tubiana氏は、産油国が協定を強化する試みを妨害してきたとした上で、次のように述べている。

 

「化石燃料業界の影響力は、全面的に見られました。今回のCOP27では、各国が(排出量削減について)新しく、より野心的な約束をする際の要件を弱めたのです。今回の協定は、化石燃料の段階的な廃止には全く触れておらず、1.5℃目標への言及もほとんどありません。エジプトの議長国は、石油・ガス国家と化石燃料産業を明確に保護する文章を作成しました。この流れを来年のUAE(アラブ首長国連邦)でも続けることはできません」

 

どの国が資金提供国かは未確定

 

実は「損失損害基金」についても、どの国を先進国とし、資金を提供する義務を負っているのか、まだ合意が得られていないという。

 

このため今回のEUの主要な目的は、これまで途上国扱いだった国々を、潜在的な資金提供国と見なすようにすることだったという。

 

そのような国には、中国、サウジアラビアなどの湾岸諸国、そしてロシアが含まれる可能性があったそうだ。

 

そしてこれらの途上国に分類された国々には現時点で、排出量について行動する義務も、他国を助けるための資金提供の義務も、課せられていないという。(了)

 

出典元:The Guardian:World still ‘on brink of climate catastrophe’ after Cop27 deal(11/20)

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