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国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を発行、ウクライナの子供らを拉致した罪

国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を発行、ウクライナの子供らを拉致した罪
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オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)は3月17日、ウクライナにおける戦争犯罪に関して、ロシアのプーチン大統領の逮捕状を発行した。

 

子供の拉致に対し、責任があると判断

 

ICCの裁判官らは、検察官からの逮捕状請求に対し、プーチン大統領と、ロシア政府内で子供の権利を担当するマリア・アレクセーエフナ・ルボヴァ=ベロヴァ氏が、ウクライナの子供たちの拉致に対して責任があるとする「合理的な理由」があると同意した。

 

ICCでは、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪が裁かれるが、今回の逮捕令状は、ウクライナ戦争での犯罪に対して同裁判所が発行した最初のものとなる。

 

現職の国家元首に対して発行されるのは稀なケースで、プーチン大統領はリビアの指導者カダフィ大佐や、スーダンのオマル・アル・バシール元大統領と並ぶことになるという。

 

カダフィ大佐は、逮捕令状が発行された数カ月後に政権が倒されて、殺害され、バシール元大統領も失脚し、現在スーダンの刑務所にいるが、まだハーグには移送されていない。

 

今後、渡航の自由を制限される

 

もっとも、ロシアは国際刑事裁判所の管轄権を承認しておらず、逮捕令状による影響は受けないとの見方もある。

 

しかし、もしプーチン大統領が、ICCの123の加盟国へ渡れば逮捕される可能性があり、今後はさらに渡航の自由を制限され、孤立を深めることになる。

 

逮捕令状発行の決定にあたり、ICCの予審では令状を秘密にすることも検討されたが、公開することで「さらなる犯罪の遂行を防止することに貢献できる」と判断したという。

 

6000人の子供たちが拉致された可能性

 

ウクライナから拉致された子供の数は、正確にはわかっていない。ただ先月には、過去1年間にウクライナから少なくとも6000人の子供たちがロシアの「再教育」キャンプに送られたと主張する報告書が発表された。

 

今回の逮捕令状について、ICCの検察官であるカリム・カーン氏は3月17日、声明で「私の事務所が確認した事件には、孤児院や児童養護施設から連れ去られた、少なくとも数百人の子供たちが含まれています」と述べた。

 

またカーン氏によれば、ウクライナの子供たちの多くは、ロシアで養子に出され、プーチンは子供たちにロシア国籍を付与することを早める政令を出し、養子に出すことを容易にしていたという。

 

ICCの裁判官は声明で、「プーチン氏が前述の犯罪について、個人の刑事責任を負うと考える合理的な根拠がある」と述べ、プーチン氏が直接行為を行った罪と、他者の行為を止めなかった両方の罪を犯したとの見解を示した。

 

「ロシアにとって何の意味もない」

 

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、テレグラム・チャンネルで「国際刑事裁判所の決定は、法的な観点も含めて、わが国にとって何の意味もない」と主張。

 

「ロシアは国際刑事裁判所のローマ規程の当事者ではなく、その下でいかなる義務も負っていない」と述べたという。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は、国外に拉致された子供たちの数が、1万6000人をはるかに超えると推定し、今回の逮捕状発行は「歴史的な説明責任を果たすことにつながる歴史的な決定」であるとし、次のように述べた。

 

「このような犯罪行為は、テロ国家の指揮を執る人物の発言なしには、不可能だっただろう」(了)

 

出典元:The Guardian:ICC judges issue arrest warrant for Vladimir Putin over alleged war crimes(3/17)

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