中国の「天宮2号」も大気圏再突入を計画か?高度の低下が確認される
中国第2の宇宙ステーションが通常の軌道から外れ、高度を一時的に低下させたことが明らかとなった。
高度が一時的に90kmも低下する
アメリカのカリフォルニア州、ヴァンデンバーグ空軍基地にある「共同宇宙オペレーションセンター」によれば、この宇宙ステーション「天宮2号」が先日、一時的に通常の軌道から外れたことが確認されたという。
これまでは高度380kmから386km地点を飛行し続けていたが、6月13日以来約90kmも下がり、高度292kmから297kmの間を飛行し続けたそうだ。
しかもこの高さは約10日間も維持され、その後通常の高度に戻ったことから、専門家の間では「天宮1号」と同じく、この宇宙ステーションも大気圏への再突入を計画しているのではないか、との憶測が広がっている。
しかしこれまでに中国の宇宙開発を進める「載人航天」は、まだこのことについて正式に声明を発表していない。
落下地点を予測できなかった「天宮1号」
「天宮1号」と「2号」は、2022年に中国が計画を進めている宇宙ステーションに先駆けて作られた実験的な施設で、宇宙にいる間にシステムのテストや処理を進めるために使用されてきたという。
「天宮2号」は2番目の実験施設で、長さは10.4m、直径4.2m、重さは8600kgあり、2016年9月15日に打ち上げられたそうだ。
一方、先に打ち上げられていた「天宮1号」は今年の4月2日に、大気圏に再突入。しかしこの時は、すでに制御不能になっていたため、地球のどの地点に落下するのか、誰も予想できなかったと言われている。
もっとも「天宮1号」は大気圏に突入した時に大部分が燃えたため、どの地域にも被害はなかったそうだが、この落下については世界中に不安が広がった。
制御された状態での再突入の準備か
その反省を踏まえてか、次は決められた時間と場所に宇宙ステーションを落下させようとしているらしく、今回高度を上下させて推進テストを行ったのも、コントロール下においた廃棄処理の準備と考えられているという。
ハーバード・スミソニアン・センターの天体物理学者、Jonathan McDowell氏もSPACE NEWSの取材に対し「天宮2号が高度を低下させたことは、安全にそれらを処理するための、最初のステップと思われます」と語っている。
もっとも声明が出ていないため、正確なことはまだ分からないが、今度は皆に不安を与えないような方法で大気圏再突入を果たしてもらいたい。(了)
出典元:SPACE NEWS:China appears to be preparing to deorbit its Tiangong-2 space lab(6/20)
出典元:MailOnline:Is another Chinese space station about to plunge back to Earth? Nation’s Tiangong-2 craft drops 60 miles to orbit strangely close to our planet, and the government won’t reveal why(6/25)