欧州宇宙機関が発表した、月に建設する寺院のデザインが神秘的
欧州宇宙機関(ESA)が月面に建てる寺院のイメージ画像を発表し、注目されている。
●文化的行動などを考えデザイン
これをデザインしたのはESAのアドバンス・コンセプトチームの一員で、アーティストのJorge Mañes Rubio氏。
彼は、以前ESAがデザインした月面基地のそばに建設するものを考える上で、月に移住した人にとって何が必要になるのか、などを含めてメンバーと議論。
人々が祈る場所としての寺院(教会)を考え、彼らが月でどのような社会的関係を築くのか、どんな文化的行動や儀式を行うのか、などの観点からこのドーム型の建物をデザインしたという。
●南極のクレーターに建てることを想定
デザイン上ではドームの高さは約50m。月の南極点にある直径21kmのシャクルトン・クレーターの縁に建てることを想定しているそうだ。
そして常に影に覆われている、深さ4.2kmにも及ぶクレーター内部を見下ろしながらも、建物自体は多くの時間、太陽光を浴びることができる場所を選んだという。
●極点は人が住むのに適している
そもそも月の極点は以前から、移住者が住むには有望な土地とみなされてきた。
それも太陽の高度が低いためクレーターが影に覆われ、重要な水資源やロケット燃料などを氷に閉じ込めて保存するのに適していると考えられてきたからだ。
しかしRubio氏が、シャクルトン・クレーターを選んだ理由は、それだけではない。
●地球からの独立思考に目覚めるため
実はこのクレーターのそばにはMalapertクレーターというのがあり、そこからは常に地球を眺めることができると言われている。
しかしRubio氏は月面に住む人々が独立的思考に目覚めるよう、2週間ごとしか地球の姿を見ることができないシャクルトン・クレーターを選んだという。
●新しい環境で一から始める絶好の機会
ESAは英紙Daily Mailの取材に対し、次のように語っている。
「月面移住は宗教もない、国家もない、社会的因習もない場所で、物事を一から始められる絶好の機会です。また人は自国の旗を月にも持ち込むでしょう。しかしそれは太陽光線によって漂白されてしまいます。まるで領土という概念から、月自体を守るかのように」
「そのためこの寺院は人々が全く新しい方法で、新しい環境において希望を持ち、まとまって過ごせるよう、神話的かつ世界に共通する構造物になるよう意図してデザインされました」
単なるデザインとは言え、具体的に状況を考え、現実を想定しながら進められたことが分かる。そしてこれは、確かにさまざまな文化の人も親しめる寺院と言えるかもしれない。
出展元:DailyMail:The incredible lunar TEMPLE: European space bosses reveal plan for 50m high ‘dome of contemplation’(1/27)
出展元:esa:SUNLIT LUNAR TEMPLE(2017/1)