複雑な形態の初期生命体、すでに15億年前に地球上に存在していた可能性
新たな研究により、これまで考えられていたよりも前に、複雑な初期生命体が地球に存在していた可能性が指摘された。
地球上で広がらなかった可能性も
そもそも今まで、複雑な生命体が初めて出現したのは6億3500万年前だとする説が唱えられていたそうだ。
しかしイギリス・ウェールズにあるカーディフ大学などの国際的な研究チームが7月29日に科学誌「Precambrian Research」に発表した研究によれば、すでに複雑な生命体が15億年前に地球上に存在していた可能性があるという。
研究者は、その生命体が存在していた環境的な証拠を発見したとしているが、同時にこの生命体が地球に拡散できなかったとも考えているそうだ。
地殻の衝突で浅い海が形成される
研究によれば、その証拠は中央アフリカのガボン近郊にある、フランスビル盆地の海洋堆積岩で発見されたという。
この盆地は21億年前に2つの先カンブリア時代の大陸、つまり「クラトン(地殻)」が衝突し、海底火山活動が起こった場所だとされている。
今回の研究で調査された2つの先カンブリア時代の「クラトン」は、「コンゴクラトン」と「São Franciscoクラトン」だ。
研究に携わったカーディフ大学地球環境科学部のアーネスト・チ・フル博士によれば、これら2つの「クラトン」は、かつて中央アフリカとブラジル東部がつながった、単一の陸地の一部だったという。
そして「コンゴクラトン」と「São Franciscoクラトン」が衝突し、1つに統合された後、この地域が世界の海から切り離され、海底火山により水がさらに制限されて、栄養分に富んだ浅い内海が形成されたと考えられている。
この浅い海の出現が、「シアノバクテリア」の光合成に道を開き、それが大量の食料資源の創出をもたらし、複雑な生命の形成を可能にしたと考えられている。
研究者たちはまた、環境中にある「リン」の利用が、地球上の生命の進化において重要な要素であるとし、特に単純な単細胞生物から、動物や植物のような複雑な生物への移行が起きたと考えているそうだ。
最初の複雑な生命体は絶滅
しかし今回の研究によれば、最初の複雑な生命体はこの地域の限られた性質から、地球全体に広がることはなく、最終的には絶滅したと考えられるという。
ただし、フル博士は「最初の試みは広がらなかったが、2回目の試みは、今日地球上で見られる動物の生物多様性を生み出した」と語っている。
実はすでに数十億年前の、大きな「マイクロ有機体」の化石も発見され、科学界で議論になっており、フル博士は今回の研究結果がその化石の起源を巡る疑問に答えてくれるかもしれないと考えている。(了)
出典元:ABC News:Complex life forms existed 1.5 billion years earlier than previously believed, study finds(7/30)