欧州宇宙機関の探査機が、火星にあるミステリアスな衛星の撮影に成功

欧州宇宙機関(ESA)の探査機が、火星にある衛星の裏側を撮影した。
常に同じ面を向けている衛星
ESAの探査機「Hera」は2つの小惑星に向かう途中、3月12日には火星でフライバイを行っていたという。
その際、火星の衛星「デイモス(Deimos)」の裏側の画像を撮影することに成功した。
「デイモス」は幅が8マイル(約13km)しかなく、潮汐ロックされているため、常に火星に対して同じ面を向けており、裏側を見ることはほとんどできない。
しかし今回、探査機「Hera」は約1000km離れた場所まで接近し、「デイモス」の裏側を撮影したという。
Revealed: the first images from @ESA‘s #HeraMission gravity-assist flyby of Mars! https://t.co/tG8hizuw9W pic.twitter.com/2qJEKwpb1W
— ESA Technology (@ESA_Tech) March 13, 2025
隕石の残骸か、小惑星の可能性
火星には「デイモス」の他にも、「フォボス(Phobos)」と呼ばれる、幅22kmの衛星がある。
また塵に覆われた「デイモス」は岩石と考えられ、火星と巨大隕石が衝突した時の残骸か、もしくは火星の重力に捕らえられた小惑星の可能性もあるそうだ。

一方、探査機「Hera」は、1億7700万km以上離れた2つの小惑星「ディディモス」と「ディモルフォス」に向かっているという。
小惑星「ディディモス」は幅780mで、その周りを幅150mの小惑星「ディモルフォス」が回っている。
「ディモルフォス」は2022年、NASAの「ダート」探査機が衝突し、人間の行動によって軌道が変えられた最初の小惑星となった。
探査機「Hera」は、将来地球を脅かす宇宙の岩石が、探査機の衝突によって逸れる可能性があるかを理解するために、これらの小惑星を分析するという。(了)
出典元:The Guardian:Passing probe captures images of mysterious Mars moon(3/13)