新型コロナの新たな変異株「NB.1.8.1」が中国で流行、米でも症例を確認

アメリカで、新型コロナウイルス(COVID-19)の新たな変異株の症例が複数確認され、専門家が注視している。
新たな変異株「NB.1.8.1」
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、COVID-19の新たな変異株は「NB.1.8.1」になるという。
この変異株は現在、中国で流行しており、アメリカのカリフォルニア州やワシントン州、バージニア州、ニューヨーク市近郊の空港に到着した国外からの旅行者において、「NB.1.8.1」に関連する症例が報告されているそうだ。
また空港での症例とは別に、「NB.1.8.1」の症例は、オハイオ州やロードアイランド州、ハワイ州などの保健当局からも報告されているという。
カリフォルニア州とワシントン州では、最も早い症例がすでに3月下旬から4月上旬までに確認されていたそうだ。
専門家たちは、現在中国で優勢となり、アジアの一部でも増加傾向にあるこの変異株を注視している。
香港や台湾でも入院患者などが増加
香港の保健当局は、COVID-19による救急外来の受診と入院の「大幅な増加」を受け、香港におけるCOVID-19の感染率が、少なくとも過去1年で最悪の水準にまで上昇したと述べている。
また香港当局は、XDV系統のウイルスから派生したこの変異株が、より重症化しやすいという証拠はないとしつつも、感染者数の増加を受け、公共交通機関や混雑した場所ではマスクを着用するよう、住民に呼びかけ始めているという。
台湾の保健当局も、救急外来の受診数、重症者数、死亡者数の増加を報告しており、地方の保健当局は、流行の波に対応してワクチンと抗ウイルス薬を備蓄しているそうだ。
中国の研究者による予備データによると、「NB.1.8.1」は、他の変異株と比較して免疫系を回避する能力に優れているわけではないが、ヒト細胞に結合する能力が優れているため、感染力がより強い可能性が示唆されているという。
米ではワクチンに関して議論に
この変異株については、すでにアメリカ食品医薬品局(FDA)の外部ワクチンアドバイザーによる会議で何度も取り上げられ、来たる秋冬シーズンに向けてCOVID-19ワクチンの更新を推奨するかどうか、5月22日にも議論されたそうだ。
昨シーズンのワクチンは、変異株「JN.1」の子孫である「KP.2」を標的としていた。
ファイザー社とモデルナ社が委員会に提出した初期データによると、ここ数カ月で優勢となっている「JN.1」の別の子孫である「LP.8.1」にワクチンのターゲットを切り替えることで、「NB.1.8.1」に対する防御力も向上する可能性が示唆されたという。
この会議でも来シーズンのワクチンは、「JN.1」の変異株を標的とすべきという勧告が全会一致で支持されたが、詳細については意見が分かれたそうだ。(了)
出典元:CBS:U.S. reports cases of new COVID variant NB.1.8.1 behind surge in China(5/23)