8500万年前に生息していた首長竜、新種の「トラスカサウラ・サンドラエ」と命名

以前、カナダで発見された首長竜の化石が研究され、新しい種であることが確認された。
「エラスモサウルス」と考えられていた化石
その化石は1988年、カナダのブリティッシュコロンビア州、バンクーバー島を流れるPuntledge川沿いで発見されたという。
当時は、白亜紀後期(約8060万年前から7700万年前)の北米に生息していた、首長竜「エラスモサウルス」に属した化石だと推測されたそうだ。
その後も、右の上腕骨の化石や、また保存状態の良い幼体の骨格も見つかったという。
しかし今回、カナダやチリ、アメリカの科学者からなる国際チームが分析した結果、この首長竜が約8500万年前に生息していた、新属・新種であると確認されたそうだ。
ちなみに「プレシオサウルス」はジュラ紀前期に生息し、体長は約3m前後。同じくプレシオサウルス亜目に属する「エラスモサウルス」は、白亜紀後期の北米の海に生息しており、体長は約10m前後(14mとの説も)もあったと考えられている。

「トラスカサウラ・サンドラエ」
今回、確認された首長竜は、「トラスカサウラ・サンドラエ(Traskasaura sandrae)」と命名され、「トラスカサウラ」が新しい属(genus)の名前で、「サンドラエ」が種(species)の名前となる。
研究者によると、この長い首を持つ生物は、体長約12メートルと推定され、アンモナイトの殻を「砕くのに最適」な重くて鋭い歯を持っていたという。
また保存状態の良い、頸椎が数十個発見され、首には少なくとも50個の骨があったことが示唆され、それ以上の数があったとも考えられている。
さらに「トラスカサウラ・サンドラエ」はエラスモサウルス類とは異なり、原始的な特徴と派生的な特徴の「奇妙な組み合わせ」を持っていたという。
新属の設定には消極的だった
実は当初、研究者たちは、エラスモサウルスの成体骨格のみに基づいて、新属を打ち立てることには消極的だったそうだ。
しかし、新たに発見された「非常に良好な保存状態」の部分骨格により、最終的に新属・新種として特定できたそうだ。
今回の研究論文の筆頭著者であるF・ロビン・オキーフ氏は、声明で次のように述べている。
「この首長竜は、原始的な特徴と、派生的な特徴の非常に奇妙な組み合わせを持っています。特に肩は、私がこれまで見たどのプレシオサウルスとも異なります。(略)この動物の正体は謎のままでしたが、本日発表された私たちの新たな研究により、ついにこの謎が解明されました」
この化石は現在、ブリティッシュコロンビア州の町、コートニーにある「コートニー地区博物館・古生物学センター」に展示されている。(了)
出典元:ABC News:Fossils found in North America reveal new species of ‘very odd’ sea monster: Scientists(5/30)