世界中の科学者がSNSで「Bluesky」を選択、その理由とは?

世界中の科学者が選ぶSNSとして、「Bluesky」の地位が高まっている。
科学関連の投稿が急激に増えている
「Bluesky」は、イーロン・マスク氏による「X」の買収や、トランプ氏の大統領就任後の偽情報の増加などにより、新規ユーザー数の急増を享受してきた。
だがここ最近、アクティブユーザー数とアクティビティの減少が報告されてきたという。
しかしながら、科学界は「Bluesky」を受け入れているらしく、8月には科学関連の投稿が7月と比べて1日あたり2倍、3月と比べて3倍以上になったとみられている。
ただし「Bluesky」の運営側は、投稿総数については明らかにしていない。
大幅に高いレベルのインタラクション
ある研究では、過去2年半にわたり、50万件以上の学術論文を参照した「Bluesky」の投稿260万件を調査した結果、それらの投稿が、「X」(旧Twitter)で報告されていたものよりも「大幅に高いレベルのインタラクション」(いいね、リポスト、返信、引用)と「テキストのオリジナル性」を示していることが分かったという。
「Bluesky」が科学者の間で好評を得ているのは、適切なエンゲージメントが鍵となっているようだ。
イギリス・シェフィールド大学を中心とする研究チームによると、「Bluesky」に投稿された科学関連投稿のほぼ半数が10件以上の「いいね!」を獲得し、3分の1が10回以上もリポストされているという。
以前の研究では、これらの指標は「X」でははるかに低く、10回以上リポストされている投稿は最大4.4%に留まることが分かっている。
また、ユーザーが投稿について独自のコメントを付ける引用も、「Bluesky」の方が多く、科学論文への返信も同様に多かったそうだ。
信頼できるプラットフォームになっている
シェフィールド大学の研究論文(まだ査読は受けていない)の著者の1人であるEr-Te Zheng氏は、次のように述べている。
「2024年後半の急上昇以降、Blueskyにおける学術的な議論は一貫して高い水準を維持しており、最近では『X』と同等、あるいはそれ以上のレベルの学術的な議論が行われています。私たちの研究によると、Blueskyの学術投稿はXよりも独創的であるだけでなく、エンゲージメントも高く、既に科学コミュニケーションにおける信頼できるプラットフォームとなっています。個人的に印象に残っているのは、Blueskyでの科学的な議論がいかに純粋であるかということです。私の投稿は、Xの雑多なコンテンツとは異なり、ほぼ完全に研究者とジャーナルの投稿で埋め尽くされています」
またアメリカ・ケント州立大学公衆衛生学部の疫学教授、タラ・C・スミス氏も、次のように述べている。
「科学系Twitterには大きなコミュニティがあり、私は15年間そこで精力的に活動していました。エンゲージメントは劇的に低下し、荒らしやボットによる反応が増えました。ピーク時には約13万人のフォロワーがいたにもかかわらず、私にとって全く役に立たないプラットフォームになってしまいました。Blueskyは規模がはるかに小さいですが、自分の分野に興味を持つ人や専門家仲間と活発な議論を交わすことができます。新しい研究情報を入手するという点では科学系Twitterと同じ役割を果たしていますが、会話もはるかにしやすいです」(了)
出典元:The Guardian:Science research gets more engagement on Bluesky than X, study finds(9/1)