オゾン層が修復されつつある!北半球は2030年代半ばまでに回復:国連報告
人間が作り出した化学物質などによりダメージを受けていたオゾン層が、回復に向かいつつあることが国連によって報告された。
南半球も50年代、極地域は60年代に回復
大気中のオゾン層の減少は、1970年代から観測され、1987年に採択されたモントリオール議定書によって、オゾン層を破壊する化学物質を特定し、それらの消費や貿易を世界規模で規制することになった。
そして最新の報告書(Scientific Assessment Panel of the Montreal Protocol)によれば、2000年以来オゾン層は10年毎に1から3%の割合で回復しつつあるという。
このため国連は、このままいけば北半球や中緯度のオゾン層は、2030年代の半ばまでに完全に修復されると見ている。
また南半球も2050年代までに、北極や南極地域のオゾン層も2060年代までに回復すると考えられているそうだ。
この報告書の共同著者で、NASAゴダード宇宙飛行センターのPaul Newman氏は次のように語っている。
「これは本当によいニュースです。もしオゾン層を枯渇させる物質が増加し続ければ、われわれは大きな影響を目の当たりにしたでしょう。私たちはそれを止めたのです」
オゾンホールもピーク時より16%縮小
そもそもオゾンは太陽から放射される有害なレベルの紫外線を防ぐことで、地球に棲む生物を守ってきたという。
また薄くなったオゾン層は地球温暖化を促しただけでなく、皮膚がんや白内障などの病気のリスクまで増加させ、最悪な時期とされた1990年代後半は、オゾン層の上部10%が破壊されたと言われている。
しかし今年、南極にできたオゾンホールはトータルで2500万平方キロメートルとなり、2006年のピーク時に比べて16%も縮小したそうだ。
国連環境計画事務局長のErik Solheim氏も「これらの理由により、モントリオール議定書は歴史上最も成功した多国間合意の1つです」と語っている。
モントリオール議定書とは、先進国だけなく途上国も参加して規制を実施しており、現在197カ国が加盟。またオゾン破壊物質の全廃を目指し、規制内容の更新や強化、改正などが行われてきた。
その改正版である「キガリ改正(2016年にルワンダの首都キガリで採択)」は2019年1月1日から発効され、冷蔵庫やエアコン、関連製品から排出される強力な気候温暖化ガスをより多く削減するよう求めることになるという。
特にこの改正では「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」が規制の対象に加えられ、現在のところ58カ国が80%の削減目標に合意しているそうだ。(了)
出典元:euronews:Ozone layer healing from man-made damage, UN says(11/6)
出典元:The Guardian:Ozone layer finally healing after damage caused by aerosols, UN says(11/5)