化石燃料を燃やすことで排出されるカーボン粒子、妊婦の胎盤でも見つかる
黒いカーボン(炭素)粒子が、母体の胎盤の中にも存在していたことが、研究者たちによって確認された。
大気汚染のひどい環境にいた女性ほど多かった
Nature Communicationsに発表された研究によれば、サンプル組織を提供してくれた女性全員の胎盤から、有害な影響を与える可能性のある煤(すす)の粒子が発見されたという。
この調査を行ったベルギーのHasselt大学の研究者らは、高解像度の画像装置を使い、5人の早期産の妊婦と23人の満期産の妊婦から回収された胎盤のサンプル組織の中に、黒いカーボン粒子を見つけたそうだ。
また女性のうち10人は妊娠中、1立方メートルの大気中に2.42マイクログラムのカーボンの粒子が含まれる、濃度の高い汚染環境で暮らしていたと言われている。
そして当然、彼女らは、1立方メートル中0.63マイクログラムの比較的、低レベルな汚染環境で暮らしていた女性よりも、胎盤に含まれるカーボンの量が多かったという。
以前の研究結果とも一致する
黒いカーボンの粒子は毎日、大気中に排出されており、主に化石燃料を燃やす時に生成されると言われている。
またこれらの物質は結果的に、妊娠中に悪影響を及ぼすと考えられており、早産や流産の増加にも繋がっているとか。
研究者らは、これらの物質が妊娠に直接影響を与えているか、または母体への反応の引き金となっているかを理解することが重要だとして上で、次のように述べている。
「私たちの結果は、人間の胎盤のバリアーが粒子を突き通さないわけではないことを証明しました。実生活で粒子に晒されている状況を基にした私たちの観察は、以前報告された生体外や生体内の研究結果と一致します。その研究でも、さまざまなナノ粒子の胎盤への移動を示しています」
キングス・カレッジ・ロンドンのAndrew Shennan教授も、次のように語っている。
「胎盤は母親と胎児のインターフェースとなっており、胎児に栄養を届け、赤ん坊に必要な全てのものを支援する鍵となっています。胎盤の機能と構造は、赤ん坊の健康と成長だけでなく、母親のそれにとっても重要なのです」
研究者はこれらの粒子が胎児にまで到達しているかを調べるためにも、さらなる研究が必要だと述べている。(了)
出典元:INDEPENDENT:Air pollution particles found on foetal side of placenta, researchers say(9/18)