新型コロナ・ワクチン接種でアレルギー反応、その詳細や専門家の意見とは?
先日、イギリスでは世界で初めて、90歳の女性が新型コロナ・ワクチンの接種を受けた。(治験以外)
しかしその後、接種した人にアレルギー反応が出たとして、イギリスの規制当局は、同じような病歴の人に対して、ワクチン接種を控えるよう呼びかけた。
2人の医療従事者にアレルギー反応
イギリスでは12月8日から、米製薬会社「ファイザー」とドイツの「ビオンテック」が開発した新型コロナ・ワクチンを接種する、大規模なプログラムが開始された。
しかしその初日、接種を受けた国民保健サービス(NHS)の医療従事者2人にアレルギー反応が起きた。
2人は接種を受けた直後にアレルギー反応を起こし、現在は治療も受け、2人とも回復しているという。彼らは皮膚の発疹、息切れ、そして時には血圧の低下を伴う場合がある、アナフィラキシー様反応を示したと考えられている。
ただしこのアナフィラキシー様反応は、死に至る場合があるアナフィラキシーとは異なるそうだ。(詳しくはファイザーのページを参照)
2人にアレルギーの病歴あり
今回の反応を示した2人は深刻なアレルギーの病歴があり、アナフィラキシー症状を一時的に緩和させるアドレナリンペン(自己注射製剤)を持ち歩いていたとされている。
このため、イギリスの「医薬品医療製品規制庁((Medical and Healthcare Products Regulatory Agency:MHRA))」は、過去に薬や食べ物、ワクチンに対して重大なアレルギー反応を示したことがある人々は、このワクチンの接種をすべきではない、と呼びかけたという。
イングランドの国民保健サービス(NHS)のStephen Powis教授は、今回のことは予防措置だとしたうえで、次のように説明している。
「新しいワクチンによくあることですが、医薬品医療製品規制庁は予防的根拠に基づいて、過去に重いアレルギー反応を起こした経験のある人に対し、ワクチン接種を行わないよう、アドバイスしました。これは昨日、アレルギー反応の経験がある2人に、逆の(副作用の)反応が出たからです。ただ2人とも現在は回復しています」
毎年のインフル・ワクチンでも起きる
実は、このような反応は稀だが、毎年のインフルエンザ・ワクチンを含む他のワクチンでも起こるという。また12月8日にはイギリスで、数千人の患者がこの新型コロナ・ワクチンの接種を受けたとされている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの免疫学の専門家である Peter Openshaw教授は、次のように述べている。
「これら2つのアレルギー反応について私たちがすぐに把握したという事実や、また規制当局が予防的アドバイスを発するため、これに基づいて行動したという事実は、この監視システムがうまく機能していることを示しています」(了)
出典元:ABC News:UK investigates possible allergic reactions to COVID-19 shot(12/9)
出典元:BBC:Covid-19 vaccine: Allergy warning over new jab(12/9)