地球の近くに存在する謎の小惑星「Kamo`oalewa」、月の一部だった可能性
以前、発見されていた小惑星の観測が行われ、月の一部だった可能性が出てきた。
反射する光の波長を調査
その小惑星とは「Kamo`oalewa」。これは2016年に発見されていたが、その実態についてはほとんど知られていなかったという。
しかし今回、研究者たちはこの小惑星を調べるため、アメリカにある大型の望遠鏡を使用。「Kamo`oalewa」から反射される光のスペクトル(波長の帯)を調査した。
その結果、NASAのアポロ計画で採取された月の岩石と適合することが明らかとなり、この小惑星が衝突によって宇宙に投げ出された、月の一部だった可能性が出てきたという。
アリゾナ州にある高性能の望遠鏡を使用
「Kamo`oalewa」は太陽の周りを移動している小惑星のカテゴリー「準衛星」に属し、地球に比較的近い距離、900万マイル(約1400万km)に位置しているそうだ。
小惑星の大きさは観覧車ほどで、肉眼で見える最もかすかな星の約400万倍も暗いことから、観測には地球上で最も高性能な望遠鏡が必要となったという。
このため研究者たちは今回、アメリカ・アリゾナ州南部のグラハム山にある大型双眼望遠鏡を用いて観測した。
100%決定的な証拠ではないが…
今回の研究論文の筆頭著者で、アリゾナ大学の博士課程に在籍しているBen Sharkey氏は、次のように述べている。
「入手可能なすべての地球近傍小惑星のスペクトルを調べましたが、一致するものはありませんでした。(略)他のアイデアよりも月で説明する方がより簡単です」
またケント大学の天文学者であるStephen Lowry教授も、次のように述べている。
「100%の決定的な証拠ではありませんが、研究チームはKamo`oalewaが確かにそのような(月面衝突のような)激しい出来事からの衝突片である可能性を強く主張しています」
研究者は月面衝突が起きた時期を、10万年前から500年前の間であると考えているという。(了)
出典元:The Guardian:Near-Earth asteroid is a fragment from the moon, say scientists(11/11)