555本の歯をもつ魚、1日に20本の歯が抜けていたと判明
非常に多くの歯を持つ魚についての研究が行われ、驚くような研究結果がもたらされた。
北太平洋に生息する「キンムツ」
その魚とは、カサゴ目の「キンムツ(Pacific lingcod・学名:Ophiodon elongatus)」だ。主に北太平洋に生息し、成魚になると大きさは50cm、中には1.5mまで成長するものもいるという。
この魚の口の中は、あらゆる骨の表面が歯で覆われているとも言われ、切歯、臼歯、犬歯の代わりに、約555本もの鋭く微小な歯が生えているそうだ。
しかし最新の研究では、この魚の歯が毎日、驚異的なペースで抜けていることが明らかにされた。
水槽に20匹を入れて観察
この研究を行ったのはアメリカ、ワシントン大学や南フロリダ大学などの研究者たちだ。
彼らは、ワシントン州の街、フライデーハーバーにあるワシントン大学の実験室の水槽において、20匹の「キンムツ」を飼育して観察を続けたという。
しかし「キンムツ」の歯は非常に小さいため、水槽の底に貯まる歯を見つけるのは容易なことではない。
歯を赤や緑の蛍光色に染めて数える
このため研究者たちは、まず薄めた赤い蛍光色の染料を入れた水槽にアイナメを入れ、歯を赤く染めたという。
10日後、今度は緑色の蛍光色を放つ水槽に入れて、歯を緑色に染めるようにしたそうだ。
We used two sets of fluorescent dyes, first red then green, to calculate in situ replacement rate over 10 days. Red teeth are older teeth that were present in the first dye and purely green teeth are newly replaced. pic.twitter.com/XsUDgum5g5
— Emily Carr (@EmilyCarr42) October 25, 2021
さらに、研究者たちは暗い実験室の中で顕微鏡を使い、アイナメの口の中にあるすべての歯骨のうち、赤い歯と緑の歯の割合を計算したという。赤い歯は最初の染料に染まった古い歯であり、緑色の歯は新しく入れ替わった歯となる。
その結果、20匹の魚の歯を合計すると、1万本以上となり、1日に平均で約20本抜けていることが明らかとなった。
We found the highest replacement rates in the lower pharyngeal jaw (D) compared to the upper jaw and vomer (A), lower jaw (B), and upper pharyngeal jaw (C). pic.twitter.com/gswFkisvZR
— Emily Carr (@EmilyCarr42) October 25, 2021
また下咽頭部の顎の部分では、口の他の部分よりも歯の交換率が高いことが分かったという。
もっともなぜ、このように大量に早く歯が抜けるのかは分かっていない。研究者は、この原因について、さらに調査したいと考えている。(了)
出典元:Livescience:This fish has 555 teeth … and it loses 20 every day(11/16)