世界の存在する樹木は約7万3000種、「エニグマ」の解読技術を用い未知種も推定
第2次世界大戦で用いられた暗号解読技術を使い、世界に存在する樹木の種類と、未知種の数が推定された。
90カ国からの数千人の研究者が参加
この研究に参加したのは、世界90カ国からの数千人の研究者たちだ。彼らは時には何日も歩いたり、人里離れた場所でキャンプをしたりして、樹木の情報を収集してきたという。
その結果、地球上には推定で7万3300種の樹木があり、これまでよりも約14%多く存在する可能性が明らかになったそうだ。
また第2次世界大戦で用いられた暗号「エニグマ」の解読技術を使い、未知の樹種の数を評価したところ、9000種はまだ発見されていない可能性が示されたという。
今回の研究に参加し、論文の主執筆者であるパデュー大学(アメリカ・インディアナ州)のJingjing Liang教授(定量森林生物学)は、次のように述べている。
「森林を記録することは、世界全体にとって大規模な取り組みです。世界中の樹木の種類を数えるのは、世界中にピースが散らばるパズルのようなものです。私たちはチームとして、それぞれのピースを分け合いながら、それを解いていきました」
暗号解読の統計的手法から未知種を推定
「エニグマ」とは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが用いた暗号(機)のこと。そしてこの解読のために、暗号解読者のアラン・チューリングとその助手アーヴィング・グッドによって作られたのが、「Good–Turing推定」と呼ばれる統計的手法だ。
今回、台湾の統計学者・Anne Chao氏がこの統計的手法を研究に適応させるために、ある理論を開発。その理論が、観測された希少種のデータを用いて未知の樹種の発生を割り出すことに、役立ったという。
この仕組み(コード)では基本的に、データの中で1度か2度しか検出されない種の情報を使って、検出されていない種の数を推定したそうだ。
未知種の40%は南米に存在か
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によれば、発見されていない樹木はまだ何千もあり、未知の種の40%は南米にあると考えられているという。
また未発見の樹種の3分の1は希少種であり、このため人間が引き起こした土地利用の変化や気候危機によって絶滅の危機にさらされる可能性があるそうだ。
これらの未知種の中には、おそらく先住民が知っていたものもあるが、最もアクセスしにくい地域では、これまで誰にも発見されていないものも含まれる可能性があるという。(了)
出典元:The Guardian:Global count estimates Earth has 73,000 tree species – 14% more than reported(1/31)