廃棄されたロケットの一部が月面に衝突か、天文学者が主張
今年の1月に、ロケットの一部が月に衝突すると予想されていたが、今回その通りとなったらしい。
3トンもの重さが高速移動
3月4日、月の表面に廃棄されたロケットの一部が衝突したと、天文学者のビル・グレイさんが主張している。ただし直接観察されたわけではないため、確認には時間がかかる可能性があるという。
このロケットは当初、スペースX社「ファルコン9」の上段部分とされていたが、その後中国の衛星軌道運搬ロケット「長征3号C」ではないかとされ、現在も詳しくは分かっていない。
ロケットの一部は3トン(4トンとの報道も)もあり、宇宙を高速で移動し続け、いわゆる宇宙ゴミになっていたそうだ。
The rocket booster that is going to impact the Moon on March 4 is from the Chang’e 5-T1 lunar mission, not DSCOVR.
GIF: https://t.co/AbEiejPB9Z pic.twitter.com/Aw5D1RsHO8— Tony Dunn (@tony873004) February 13, 2022
月への影響は軽微
今回、月への衝突の影響は軽微であると予想され、幅10〜20メートルのクレーターができ、月での塵の噴出が考えられているという。
このロケットの一部は、NASAが出資する宇宙調査機関によって2015年3月に初めて見つかったが、その後、物体が小惑星でないことが示されると、すぐに興味は失われ、以来宇宙を漂い続けていたそうだ。
欧州宇宙機関は、10cm以上の大きさの宇宙ゴミが現在3万6500個あると推定している。
しかしどの宇宙プログラムや大学も、宇宙ゴミを正式に追跡していない。宇宙空間の監視には費用がかかり、高軌道のゴミが人類に与えるリスクは低いからだ。
このためほんの一握りのボランティアの天文学者が、自由な時間を使って計算を行い、軌道を推定しているという。
今回のロケットの一部を発見したのはイギリス人のピーター・バートウィスルさん(63)で、彼はイングランド南部のニューベリーの自宅の庭から空を見ていた時に、空を横切る小さなロケットの一部らしきものを見つけたそうだ。
その後、バートウィスルさんはアメリカの天文学者・ビル・グレイさんに写真やデータを送り、グレイさんがロケットの一部の軌道を計算、月に衝突すると予測していた。(了)
出典元:BBC:Moon crash: Discarded rocket part to hit Moon in hours, say scientists(3/3)
出典元:AFP:使用済みロケット、月の裏側に衝突か 時速9300キロ(3/5)