銀河系の中心にあるブラックホールの撮影に初めて成功
私たちの地球がある銀河系。その中心とされるブラックホールの画像が、初めて撮影された。
いて座A*
銀河系の中心は「いて座A*(いてざエー・スター)」と呼ばれている。これは天文電波源のひとつで、天体ではあるが、目に見える星ではない。ここには超大質量のブラックホールが存在すると考えられている。
ブラックホールの直接観測を目指す国際プロジェクト「Event Horizon Telescope(イベント・ホライズン・テレスコープ)」は、このいて座A*の可視化・撮影に成功し、今月12日、その画像をツイッターやウェブサイトで公開した。
We finally have the first look at our Milky Way black hole, Sagittarius A*. It’s the dawn of a new era of black hole physics. Credit: EHT Collaboration. #OurBlackHole #SgrABlackHole
Link: https://t.co/Ax7ECRVg8A pic.twitter.com/LRWizSYOy9— Event Horizon 'Scope (@ehtelescope) May 12, 2022
我々はやっと、天の川(銀河系)ブラックホール「いて座A*」の姿を初めて見ることができた。これは、ブラックホール物理学の新時代の幕開けと言っていい。
写っているドーナツ状のオレンジ色の靄は、ブラックホールそのものではなく、周辺にあるガスや塵。ブラックホールに落ち込みつつあるので、高温に加熱されてエネルギーを発しているらしい。
複数の天体望遠鏡を用いてデータ取得
ブラックホールがあるとされる場所は、宇宙にいくつもある。その中には、すでに撮影されている場所もある。これまで銀河系の中心であるいて座A*が撮影されなかったのは、「天の川」に浮かぶおびただしい星や星間物質が障害になっていたからのようだ。
「イベント・ホライズン・テレスコープ」は、地球上の複数の天体望遠鏡で得られたデーターを複合して画像にしている(その意味では純粋な撮影ではない)が、今回はその望遠鏡群に「南極点望遠鏡(South Pole Telescope)」を加え、数を1基増やした。それが成功の理由だったそう。
公開された画像は、相当ぼやけていてやや残念に思った人もいるだろう。ハーバード-スミソニアン天体物理学センターのMichael Johnson氏も同意見で、「曇りガラスを透かして見るよう」とメディアに話している。だが、将来、天体望遠鏡の性能が良くなれば、よりシャープな画像が得られるそうだ。(了)
出典元:Mashable:Behold the Milky Way’s supermassive black hole in first-ever photo(5/12)
出典元:Wikipedia:いて座A*