マレーシアにハイブリッドの「ミステリーモンキー」が出現、生息域の減少が原因か?
マレーシアで謎のメスザルが確認され、遠縁にあたる霊長類との間に生まれた可能性が指摘されている。
写真がSNSにアップされ話題に
そのメスザルはは2017年、マレーシア・サバ州のキナバタンガン川沿いで撮影されたという。
写真はその後、野生動物写真グループによってSNSにアップされ、注目を集め、研究者も調査に乗り出したそうだ。
研究者らは、このサルのさまざまな写真を調べ、その色合いやプロポーションを見て、テングザル(Nasalis larvatus)のオスと、シルバーラングール(Trachypithecus cristatus)の間に生まれた、メスの子供であろうと結論づけたという。
(上の写真Aでは、左のミステリーモンキーが親に毛づくろいされている。CとFの写真で大きく映っているのが、ミステリーモンキー。写真Fではその子供も少し見えている)
種間交尾が撮影されたとの報告も
このサルの顔はシルバーラングールよりもテングザルに近く、鼻は顕著だがそれほど長くなく、皮膚は灰色であったという。
また毛は長く密生しており、シルバーラングールの毛に似ているが、よく見られる横鬣はなく、色もテングザルらしい模様をしていたそうだ
さらに観察者は、この地域で種が混ざった群れを見たことがあり、種間交尾も撮影されたと研究者に話しているとか。
狭い生息域に2種が閉じ込められている可能性
研究者によると、このケースはアブラヤシ農園の拡大による生息地の喪失と分断が原因であり、親と思われる2種のサルがキナバタンガン川沿いの狭い河岸林に限定されている可能性があるという。
霊長類学者でマレーシア科学大学の上級講師であるナディーン・ラパート氏は、この動物の研究を共同で行い、4月に「International Journal of Primatology」に発表。
しかし両方の親種の生息域を調べるためには、さらなる研究が必要であるとし、次のように述べている。
「川やアブラヤシ農園、集落、道路に囲まれたこの小さな断片的な生息地の中に、群れが閉じ込められているのか、それともさらに上流の手付かずの森林に分散できるのかを評価するのは難しいです」(了)
出典元:The Guardian:Malaysia’s ‘mystery hybrid monkey’ could be result of habitat loss(6/12)