新型コロナの後遺症は女性に多いことが判明:J&J調査
新型コロナの後遺症は日本でも話題になっているが、統計的な調査によってだんだんとその傾向が明らかになってきた。
欧米でも問題視されている後遺症
新型コロナの後遺症が人々に影響を与えているのは、日本だけではない。例えばイギリスでは、人口の約3%に当たる約200万人が後遺症に悩まされていると報じられている。そのうちの40万人近くは日常生活に明らかに支障をきたしており、後遺症が2年以上長引いている人は37万6000人もいるとのこと。
後遺症の具体的な症状としてアメリカ疾病予防管理センターは、倦怠感、呼吸困難、頭痛、頭がぼうっとする「ブレンフォグ」、関節痛、筋肉痛、新型コロナから回復後も続く味覚・嗅覚障害などを挙げている。
女性の方が後遺症が出やすい
アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンの研究チームは、過去の新型コロナ患者130万人のデーターを調べ、後遺症に男女差があることを発見。医学雑誌「Current Medical Research and Opinion」に論文として発表した。
それによると、女性に後遺症が出る確率は、男性より22%高いとのことだ。
また、後遺症の種類にも男女差がある。女性に多いのは倦怠感、耳・鼻・喉の不調、情緒不安定やうつ、肌のトラブル、胃腸障害、関節痛など。一方男性には、新型コロナが引き起こす腎臓障害や、糖尿病の原因となる内分泌腺の障害が、一種の後遺症として残る場合が多いとのこと。
男女差が出る理由ははっきり分かっていない。だが、ジョンソン・エンド・ジョンソンの研究者は、論文の中で次のように言っている。
男女の免疫系の作用の違いが、後遺症の男女差の重要な要因になっている可能性がある。女性にはより強い免疫力が備わっており、新型コロナウイルスに比較的感染しにくく、感染しても重症化しにくい。ところが、この免疫の強さが、(後遺症と見られる)自己免疫に関連した障害を起こしやすくしているとも言える。
後遺症に関するデータはまだまだ少ないのだそう。今後の研究で解明が進むことを期待したい。(了)
出典元:Metro:Unfairer sex! More women than men hit by long Covid, study shows(6/21)
出典元:abc News:Women are more likely than men to develop long COVID, study finds(6/22)