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新型コロナの変異株や一般の風邪にも対応する、万能ワクチンを開発中

新型コロナの変異株や一般の風邪にも対応する、万能ワクチンを開発中
flickr_NIAID

イギリスの科学者らが、さまざまな変異株の新型コロナウイルスや一般の風邪(コロナウイルス)にも対応できる新たな万能ワクチンの開発を進めており、大きな前進を遂げたという。

 

さまざまなコロナウイルスに対処

 

この研究を行っているのは、ロンドンにあるフランシス・クリック研究所の研究者たちだ。

 

彼らは、Covid-19(病気)を引き起こすウイルス「Sars-CoV-2」のスパイクタンパク質の特定の領域が、Covid-19のすべての亜種と風邪を予防できる万能コロナウイルス・ワクチンの良い標的であることを発見したという。

 

そもそも「Sars-CoV-2」などを含むコロナウイルス群には、大きな相違点があり、これまで何度も変異してきたため、人々は繰り返し風邪を引き、また「Sars-CoV-2」の異なる亜種に何度も感染する可能性があると指摘されてきた。

 

スパイクタンパク質の別の領域を標的に

 

そこで今回、研究者らは「Sars-CoV-2」のスパイクタンパク質の「S2サブユニット」と呼ばれる領域を標的とする抗体が、他のコロナウイルスも中和するのかどうかを調査したという。

 

そして「S2サブユニット」を標的とするワクチンをマウスに投与したところ、数多くの動物及びヒト・コロナウイルスを中和する抗体が作り出されたことが判明したそうだ。

 

この動物及びヒト・コロナウイルスの中には、一般の風邪(コロナウイルス)の「HCoV-OC43」や、「Sars-CoV-2」のオリジナル株(武漢株)、第一波で優勢だったD614G変異株、アルファ、ベータ、デルタ、オリジナルのオミクロン、2つのコウモリコロナウイルスも含まれていたという。

 

将来のコロナウイルスに対しても期待

 

今回の研究論文の共同筆頭著者であるフランシス・クリック研究所のケビン・ウング氏は、次のように述べている。

 

「この(S2)領域は、S1領域よりも、異なるコロナウイルス間で類似しているため、変異の影響を受けにくく、この領域を標的としたワクチンは、より強固になるはずです」

 

また同研究所の研究グループリーダーであるGeorge Kassiotis氏も、次のように述べている。

 

「S2領域を標的とするワクチンには、現在のコロナウイルスだけでなく、将来のコロナウイルスに対しても、ある程度の予防効果が期待できます。これは、より可変的なS1領域を標的とするワクチンとは異なります。S1領域の標的では、設計された変異型に有効である一方、他の変異型や広範なコロナウイルスを標的とすることは困難なのです」

 

ただしKassiotis氏によれば、潜在的な能力を持つワクチンを設計し、テストするための最も適切なルートを探すために、まだ多くの研究を行う必要があるという。(了)

 

出典元:The Guardian:UK scientists take ‘promising’ step towards single Covid and cold vaccine(7/27)

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