火星に存在していた意外な鉱物、火山噴火で吐き出された可能性
過去に火星で見つかった鉱物が、なぜ表面に堆積していたのか、その理由を探る研究がすすめられた。
二酸化ケイ素のみでできた鉱物
その鉱物は2015年7月30日、NASAの探査機キュリオシティによって、幅154キロメートルほどのゲールクレーターの中心部にある岩の中で発見されたという。
キュリオシティは岩に小さな穴を開け、銀色のダストサンプルを抽出。探査機に搭載されたX線回折実験装置がこのダストを分析した。
すると、ある種の火山活動によって形成される二酸化ケイ素(シリカ)のみでできた珍しいタイプの石英、トリディマイト(鱗珪石)が検出されたそうだ。
この鉱物は今から30億年前に形成されたと考えられるが、この珍しい発見は、まったく予想外のものだった。
近くには火山がなく解明が難しい
今回の研究論文の筆頭研究者で、北アリゾナ大学とライス大学の惑星科学者であるヴァレリー・ペイレ氏によれば、トリディマイトの発見は主に2つの理由で研究者を驚かせたという。
第一は、火星の火山活動はこれまで、トリディマイトのようなシリカを多く含む鉱物の生成には不向きだと考えられていた点。
第二は、ゲールクレーターはかつて古代の湖であり、近くには目に見える火山がないため、この鉱物がどのようにして湖の底に沈んだのか、解明が難しかったことだ。
未知の火山噴火により降り注いだ可能性
しかし今回の研究で、科学者たちは、この謎を最終的に解明できる可能性を持つ説明にたどり着いたという。
研究者たちは、未知の火山の爆発的噴火によって、トリディマイトを多く含む火山灰が火星の上空に打ち上げられ、それがゲールクレーターの古代湖に降り注いだのではないかと考えている。
そして灰が水中に落ちたとき、物理的および化学的なプロセスの組み合わせによって、個々のパーツに分解されたはずだという。
研究者たちは、これが、トリディマイトのサンプルが灰に汚染されておらず、非常に純粋である理由だと考えているそうだ。(了)
出典元:Livescience:Mysterious mineral on Mars was spat out by an explosive eruption 3 billion years ago(8/12)