世界の湖などの貯水量が減少、人間活動や気候変動の影響
新たな研究により、世界の湖などに貯まっていた水が、人間の活動や気候変動により、減少していることが明らかになった。(アイキャッチはイメージ)
世界にある2000の湖と貯水池を調査
この研究を行ったのは、アメリカ・コロラド大学などの研究者だ。
彼らは1992年から2020年にかけて、世界の約2000の湖と貯水池の貯留量の傾向を検出するために、地球規模の衛星観測と気候および水文学(水の循環に関する研究)モデルを組み合わせ、調査したという。
その結果、調査対象となった水域の約53%が、過去28年間で年間約22ギガトン(10億メートルトン)の割合で、著しい水不足に見舞われていることが判明。「広範な貯水量の減少」が明らかになったそうだ。
世界人口の4分の1に影響を与える可能性
コロラド大学ボルダー校と研究を行った表層水文学者のFangfang Yao氏は、次のように語っている。
「貯水量の減少は、世界人口の4分の1に影響を与える可能性があります。気候変動に何も対処せず、人間の水消費を制限しなければ、この傾向は続くでしょう」
研究によると、最も影響を受けている湖や貯水池には、カリフォルニア州のソルトン湖、ユタ州のグレートソルトレイク(湖)、アフガニスタンのゴドザレ窪地(Godzareh)などがあるという。
またカザフスタンとウズベキスタンの間にあるアラル海は、1960年以来縮小を続け、10年以上前にほとんど干上がったそうだ。
淡水湖も過塩水湖となる
しかもかつては淡水であった湖が、今では過塩水湖となり、飲用には適さなくなったケースもあるという。
その結果、その地域の生態系に影響を与え、多くの在来種がこの環境を生き抜くことができなくなったとか。
そもそも湖の面積は世界の陸地面積の3%に過ぎない。しかし、湖は地球上の液体表面の淡水の87%を保持しているという。
今回の研究論文の著者は、「自然湖の水量減少の多くは、気候の温暖化、蒸発散の増加、人間の水消費の結果である」と述べている。(了)
出典元:ABC News:Why the amount of water storage is declining in lakes around the world(5/19)