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下半身不随になった男性、脳に装置を埋め込み、歩けるように

下半身不随になった男性、脳に装置を埋め込み、歩けるように
Twitter/Ricardo Robaina

過去に自転車事故で下半身不随になったオランダ出身の男性が、脳に装置を埋め込み、補助具を使って歩けるようになった。

 

交通事故で首の骨を骨折

 

その男性とは、ゲルト・ヤン・オスカムさん(40)だ。

 

彼は2011年、中国で交通事故に遭い、首の骨を骨折。以来、医師からは、もう歩けるようにはならないと言われてきたという。

 

しかしその後、脳波を読み取り、正しい筋肉を動かすよう背骨に指示を送る装置を、脳に埋め込んだ後、補助具を使って歩けるようになったそうだ。

 

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スイスの神経科学者のチームが開発

 

この装置を開発したのは、スイスの神経科学者のチームだ。

 

彼らは、麻痺を克服するための「ブレイン・マシン・インターフェース」の開発に長年、取り組んできたという。

 

そもそも脊髄神経が切断されると筋肉が使えなくなるが、この装置はその筋肉と脳を、無線信号を使って再びつなげることを目的としている。

 

そしてオスカムさんは、このインターフェイスの最新版である「デジタルブリッジ」と呼ばれる装置を脳に埋め込んだのち、歩けるようになった。彼は次のように語っている。

 

「もう歩けないと言われていましたが、手術を受けてから階段を登り、また一度に100メートル以上歩くことができるようになりました。数カ月前、10年ぶりに立ち上がって、友人たちとビールを飲むことができました」

 

Twitter/Hipertextual
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神経活動を検出し、データをパルスに変換

 

実は以前、オスカムさんはコンピューターから脊髄に信号を送ることで、歩行のリズミカルなステップを再現するシステムを試しに使ってみたという。

 

この装置では、一度に数歩、歩くことができたが、その動きは極めてロボット的で、ボタンやセンサーで作動させる必要があったとか。

 

このためローザンヌ大学病院の神経外科医であるジョセリン・ブロッホ教授は、オスカムさんの脳に電極を取り付け、足を動かそうとしたときの神経活動を検出。

 

読み取ったデータをアルゴリズムで処理し、パルス(電気信号)に変換し、さらに背骨にある電極に送ったそうだ。

 

その結果、このパルスが背骨の神経を活性化し、筋肉にスイッチを入れて、意図した動きを生み出すことができたという。

 

スイス連邦工科大学のGrégoire Courtine教授は、「このシステムは、ゲルト=ヤン(オスカムさん)の思考を捉え、その思考を脊髄への刺激に変換して、自発的な足の動きを再び取り戻すことができるのです」と述べている。

 

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リハビリを促進する効果も

 

しかもオスカムさんによれば、この装置は立ち上がりや歩行が、その動作を考えることによって開始されて制御されるため、以前よりも自然な動きを可能にするという。

 

また、この装置はリハビリを促進する効果もあるようで、背骨の神経をすべて切断していないオスカムさんは、40回以上のトレーニングの後、装置の電源を切っても、足をある程度コントロールできるようになったそうだ。

 

Courtine教授は、脳と脊椎を再接続することで脊髄神経が再生され、患者が失ったコントロールの一部が回復すると考えている。

 

この研究はまだ初期段階だが、研究者たちは将来、小型化された装置が、脳卒中患者や麻痺した人の歩行、腕や手の動きなど、機能のコントロールを助けることを期待している。(了)

 

出典元:The Guardian:Paralysed man walks using device that reconnects brain with muscles(5/24)

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