【新型コロナ】新たな変異株「BA.2.86」を、イギリスで初めて検出
変異の多さから科学者の間で懸念されている新型コロナウイルスの新たな変異株が、イギリスのロンドンで検出された。
イスラエルやデンマークでも確認
その変異株とは「BA.2.86」だ。最初にこの変異株が報告されたのはイスラエルで、その後デンマークとアメリカでも検出されたという。
イギリス健康安全保障庁(UKHSA)は8月18日に、この変異株がイギリス国内で初めて検出されたと明らかにした。
UKHSAの副局長であるミーラ・チャンド博士は次のように述べている。
「我々はイギリスで1例の感染者が確認されたことを認識しています。UKHSAは現在詳細な評価を行っており、追って情報を提供する予定です」
患者に海外渡航歴はなし
イギリスで最初に確認された患者には渡航歴はなかったため、イギリス国内でもすでに、一定程度の地域感染が起きている可能性が示唆された。
また「BA.2.86」は比較的最近出現し、急速に拡大しているが、現時点では、他の変異株と比較してどの程度深刻なのか、あるいはどの程度免疫から逃避しているのかを評価するのに十分なデータはないという。
世界保健機関(WHO)は8月17日、「BA.2.86」を「監視中の変異株」に指定することを発表している。
スパイク・タンパク質に30以上の変異
「BA.2.86」はオミクロン株の亜系統とされるが、現在流行している株に比べて、スパイク・タンパク質に30以上の変異があるという。
しかもこの変異株がすでに数か国で検出されていることから、科学者たちは警戒を強めているそうだ。
ロンドンにあるUCL遺伝学研究所所長のフランソワ・バルー教授によれば、「BA.2.86」はオミクロンの出現以来、世界が目撃した最も顕著な変異株だという。
しかしこの変異株の感染力や病原性については現段階では分かっておらず、今後数週間で明らかになる、との見方を示し、次のように語った。
「BA.2.86が新たな患者を大量に発生させるという最悪のシナリオであっても、パンデミックの初期にアルファ型、デルタ型、オミクロン型が蔓延したときと同程度の重篤な疾患や死亡を目撃することはないでしょう」
「エリス」と呼ばれる変異株「EG.5」
また世界保健機関(WHO)は先日、通称「エリス」と呼ばれる変異株「EG.5」を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。
「EG.5」は、オミクロン株から派生した変異株の1つで、今年の2月に発見され、現在感染者が増えているという。
ただし現段階では、「EG.5」が他の変異株よりも重症化する傾向にはなく、感染のリスクもこれまでの変異株と同程度だと、WHOが述べている。(了)
出典元:The Guardian:New Covid variant causing concern among scientists detected in London(8/18)