睡眠時無呼吸症候群が、不整脈や脳卒中のリスクを高める可能性
大きないびきをかき、眠った後でも疲れが抜けない、睡眠時無呼吸症候群。これが脳卒中や不整脈のリスクをかなり高めるとする、研究結果が発表された。
高血圧や鬱病などのリスクも
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり、大きないびきをかいたり、途中で何度も目が覚めたりといった症状を伴う疾患で、多くの人が診断されないまま、この状態にあると言われている。
また睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、2型糖尿病、鬱病などの深刻な健康問題のリスクを高めることがすでに知られているという。
そして今回、アメリカの研究者は、無呼吸症候群による、心臓への影響についてさらなる証拠を発見したそうだ。
脳卒中になる可能性が60%高い
アメリカのスタンフォード大学の専門家が参加した2つの研究では、20歳から50歳の約170万人を10年間にわたって調査。
その結果、睡眠時無呼吸症候群の人は、心房細動(不整脈の一種)になる可能性が5倍高く、脳卒中になる可能性が60%高いことがわかった。
スタンフォード大学の循環器内科教授で、この研究の著者であるサンジブ・ナラヤン氏は、次のように語っている。
「睡眠時無呼吸症候群を患っている場合、脳卒中のリスクが60%増加することがわかりました。睡眠時無呼吸症候群は本当によくあることですが、私たちは些細なこと、あるいはちょっとした厄介事だと思って無視しています。今まで、誰もそのリスクの大きさを明らかにした人はいませんでした。今回の発見は、私たちを驚かせました。しかも、これは比較的若い人たちの話です。脳卒中になれば、若い家庭は壊滅的な打撃を受けるでしょう。職場から離れることにもなりかねません。今後40年間の人生を台無しにしてしまうのです」
気道が狭くなり、うまく呼吸できなくなる
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が狭くなり、それにより呼吸がうまくできなくなるという。
もっとも原因はまだ正確には明らかになっていないが、肥満、首の太さ、喫煙、飲酒、仰向けで寝ることなどが関係しているとも考えられている。
また心房細動は、心拍数が不規則で、しばしば異常に速くなる心臓病だ。ナラヤン教授は、次のように語っている。
「呼吸ができなくなると、肺の圧力が上昇し、最終的には喘ぎながら目を覚ますことになります。その結果、心臓に圧力負荷がかかり、心房(心内腔)が引き伸ばされ、心房細動を引き起こすのです。また、血液中の酸素濃度が数十秒間低下し、それが心臓に負担をかけるという説もあります」
睡眠時無呼吸症候群は、「体重を減らす」「喫煙をやめる」「飲酒量を減らす」など、生活習慣を改善することで治療できることもあるという。(了)
出典元:The Guardian:Sleep apnoea greatly increases risk of stroke, US scientists find(8/25)