2018年は世界遺産に19の史跡が新たに追加、その中から13の文化遺産をご紹介!
2018年、新たに19もの世界遺産が追加されたことをご存じだろうか。
その中にはドイツの教会からフランスの火山、さらには長崎の隠れキリシタンの史跡まで、幅広いものが含まれている。
今回はその新たに追加された19もの世界遺産の中で、文化遺産にはどのようなものがあるのか一挙ご紹介しよう。
注目の文化遺産をご紹介!
それでは早速文化遺産の数々の中から、注目度の高いものから見ていこう。
2018年新たに登録された文化遺産は13点存在する。
その中でもまずご紹介すべきは、やはり日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」だろう。
日本で22番目の世界遺産となるこちらは、17~19世紀におけるキリスト教禁止政策の中、“隠れキリシタン”と呼ばれる人々が人目を忍んでキリストへの信仰を育んでいた歴史を伝える遺産だ。
長崎県から熊本県にまたがるこちらの世界遺産は、「大浦天主堂」などの教会をはじめとする12の構成遺産によって形成されている。
遺産からはこの地の人々が潜伏するようになった経緯や、信仰の実践とキリスト教共同体の維持のために行った試みなどをうかがい知ることができる。
また今回もう一つ注目を集めているのが、トルコの「ギョベクリ・テぺ」だ。
世界で最も古い巨石構造群であるこの遺跡はなんと1万1500年ほど以前にも遡り、ピラミッドよりも古いものであることが確認されている。
さらに建築物は神殿と考えられているが、これまで宗教が誕生したのは人類が農耕生活を開始して以降のことと信じられてきた。
しかしこの構造群が建築された時代には人間は狩猟生活をしており、構造物周辺で人々が定住した形跡もない。
いずれにせよこちらの遺跡は、これまでの常識を覆す謎に満ちたものとして注目を集めている。
その他の文化遺産をご紹介!
それではここからは残る11もの文化遺産をご紹介しよう。
まずはじめにご紹介するのがこちらデンマークの「Aasivissuit – Nipisat. Inuit Hunting Ground between Ice and Sea」だ。
デンマーク領グリーンランドに位置し北極圏に含まれるこの地には、4200年にもわたる歴史が刻まれている。
古くから狩猟の地としてイヌイットが利用した同地にはその跡が残されていると共に、動物の季節移動や航海、さらには医学にもつながる遺産が残されているとのことだ。
次にご紹介するのは、サウジアラビアの「Al-Ahsa Oasis, an evolving Cultural Landscape」だ。
8500ヘクタールを超える広大なオアシスであるこちらの地には、運河や排水設備が残されている。
さらに歴史的建造物や庭など、人の生活の営みが見て取れる遺跡の数々も残されており、オアシスの規模としては世界最大級とのことだ。
続いてご紹介するのはオマーンの「Ancient City of Qalhat」。
オマーンの東海岸沿いに位置するこの史跡は、11世紀から15世紀にかけてアラビア東海岸の港町として建設されたもの。
この都市を通じて近隣のアラビア諸国やアフリカのみならず、インドや東南アジア、さらには中国との交易の様相をもうかがい知ることができるという。
お次はドイツの「Archaeological Border complex of Hedeby and the Danevirke」だ。
いわゆるヴァイキングの時代に貿易のハブとして栄えたこの場所には、今も当時の道や建築物、墓などが残るという。
ここには今も良好な状態で考古学的に重要な史跡の数々が残されており、当時の経済や社会の発展を理解する鍵となるとのことだ。
次にご紹介するのはこちらスペインの「Caliphate City of Medina Azahara」。
イベリア半島のムスリム政権、ウマイヤ朝の時代に築かれた史跡であるこちらは、1000年ほどにもわたる長きの間廃墟となり忘れ去られていたが、20世紀初頭に再発見された。
中世イスラム建築の宮殿跡である「ザフラ―宮殿」も含まれるこの史跡からは、今はなきイベリア半島のイスラム王朝の広範な知識を得ることができるという。
続いてこちらはイタリアの「Ivrea, industrial city of the 20th century」。
20世紀に企業城下町として、工業都市としての発展を遂げたこちらの遺産。
その建設はコミュニティ運動の精神を反映したもので、社会プロジェクトの模範的な存在とされているという。
続いてドイツから「ナウムブルク大聖堂」。
この大聖堂は11世紀に建築が開始された中世教会建築を代表するものだ。
その建築様式は後期ロマネスク様式から初期ゴシック様式への変遷がみられ、“ナウムブルク・マイスター”と呼ばれる12体の等身大の像の存在も知られている。
続いてこちらは韓国の「山寺、韓国の山地僧院」だ。
これは韓国において13番目の世界遺産となるもので、7つの寺院から構成される。
寺院はいずれも7世紀から9世紀にかけて建設されたものとされ、1000年以上もの長きにわたり韓国における仏教文化を継承してきたものだ。
続くこちらはイランの「Sassanid Archaeological Landscape of Fars Region」だ。
宮殿をはじめとする建造物で構成されるこの史跡は、ササン朝ペルシャ時代に建設されたもの。
遺産は8つの史跡から構成され、紀元後3世紀から7世紀に建設された史跡は、それ以前のアケメネス朝文化やペルシャ文化、さらにはローマの芸術をも反映させたものとなっている。
そしてこちらはケニアから「Thimlich Ohinga Archaeological Site」だ。
“Ohinga(オヒンガ)”とは、同地域で特有にみられる石壁によって囲まれた集落のことを指すという。
今回登録となったものは16世紀に建設されたものと考えられており、オヒンガの中でも最も大きく保存状態も良いものとのことだ。
最後にご紹介するのはインドの「Victorian Gothic and Art Deco Ensembles of Mumbai」だ。
19世紀から20世紀にかけて建築された数々の建造物で構成されるこちらは、いずれもゴシック・リヴァイバル様式と呼ばれるゴシック建築を復興させた建築様式、あるいはアール・デコによる建築となっており、独特の建築様式は“インド・デコ”などとも形容されるという。
駆け足でのご紹介となってしまったが、この記事を次の旅行先の計画に少しでも役立てていただければ幸いだ。
出典:UNESCO:World Heritage Committee has inscribed a total of 19 sites (7/4)
出典:世界遺産イェーイ!(ブログ):2018年新規追加となった世界遺産決定![第42回世界遺産委員会バーレーン・マナーマ会議](8/2)
出典:北欧区:グリーンランドに3つ目の世界遺産誕生 (7/3)
出典:AB-ROAD:1万2000年前に建設された世界最古の神殿ギョベクリテペ
出典:イタリア政府観光局:新世界遺産 20世紀の工業都市イヴレア
出典:中央日報:韓国の山寺7カ所が世界遺産に登録、合計13カ所に(7/1)
出典:世界遺産プラス:アフリカの世界遺産