オーストリアで難民をテーマとした舞台が問題視され、中止となる事態に


オーストリアで難民をテーマとした舞台が物議を醸し、結果的に中止となる事態になった。

 

「馬鹿馬鹿しいプロパガンダだ」と酷評

 

今回中止となった舞台は、「Welt in Bewegung(動く世界)」と題されたもの。

 

舞台は既にオーストリアの首都ウィーンを含む各地で公演されており、7000~1万人ほどの11~17歳の青少年が観劇したとのことだ。

 

Neue Mittelschule Dr. Skala Straße

 

一方、一般向けの公演は先月30日にウィーンの世界博物館で行われる予定であったが、急遽中止に。

 

台本を執筆したEdmund Enge氏は、地元ラジオ局Oe1のインタビューにおいて「既に舞台を観劇した350人ほどの教師は、劇の内容について全ての面で、ほぼ肯定的な批評と反応をしてくれた」と語っている。

 

しかしながら地元ラジオ局、FM4は舞台を観劇したという教師の言葉を紹介。

 

その匿名の教師は「舞台が、数年にもわたる(移民の社会への)統合のための取り組みを危機に陥れる」と語ったとか。

 

またジャーナリストでプロデューサーとしても活動するTina Leisch氏も同ラジオで、「舞台は“最も馬鹿馬鹿しいプロパガンダ”である」と述べている。

 

主人公は二人の対照的な難民

 

これほどまでの酷評を受けることとなった舞台とは、一体どんなものだったのだろうか。

 

内務省の委託を受け制作されたこの舞台は、2人の難民を描く物語であったという。

 

登場人物の概要はこうだ。

 

主人公のうちの一人、アフリカからの経済移民であるMojoは、“ヨーロッパに新規で移住する者は6000ユーロ(約78万円)と車、そして家を手に入れることができる”とするYouTubeに投稿された映像を信じ、ヨーロッパへの移住を決意する。

 

しかし難民申請を断られてしまったMojoは、イスラム国の戦闘員になってしまう。

 

その後Mojoは警察に捕まり強制送還されることとなるが、結果的に本国で仕事と家族を得てハッピーエンドを迎える。

 

一方、もう一人の主人公であるシリア難民のNadimは、きちんとした教育を受けており、難民申請も認められオーストリア社会への統合とドイツ語の勉強に励んでいる。

 

さらに二人の他に、舞台には人種差別主義者としてオーストリア人の老婦人と一人のジャーナリスト、さらに難民向けのヨガコースを開く空想家も登場する。

 

Neue Mittal Schule

舞台の内容には作家からの批判も

 

このようなストーリーに対しては、作家の間からも批判の声が上がっている。

 

オーストリアの作家協会である「IG Autorinnen Autoren」に所属するGerhard Ruiss氏は、「劇の内容は内務省が注文したとおりのものだ。これは演劇ではなく、正しいとされる考え方に人々を導く洗脳だ」と指摘。

 

これに対し、内務省スポークスマンのAlexander Marakovits氏は「物事は単純化される必要がある。統合は非常に複雑な問題だ…」と歯切れが悪い。

 

ただMarakovits氏は、舞台の内容がプロパガンダであるとの批判に対して「これはプロパガンダか何かのようなものではない。これは情報を伝えるためのものだ」としている。

 

非常に多くの数の難民を抱える欧州では、難民に関わることについてはとかく敏感になりがちだ。この問題がどのように収束されるか気になるところだ。(了)

 

出典:The Local Austria:Austrian migrant ‘propaganda’ play cancelled after outrage(3/31)

出典:RT:Austrian migrant play dubbed ‘propaganda,’ canceled after outrage (4/1)